2022年10月号記事
中間選挙間近のアメリカ
「ポスト ・バイデン」を考える
米経済に影を落とすインフレの高進と、「第3次台湾危機」を彷彿とさせる中国の軍事演習。アメリカのリーダーシップが揺らげば、世界の未来も不透明感が増す。バイデン政権後に何が求められるのか。
11月8日に中間選挙を控える中、バイデン米大統領は求心力を高められないでいる。
アフガニスタン撤退時の不手際、国内での新型コロナウィルス感染拡大、不法移民の急増と治安悪化、物価高騰などを受け、昨年10月には支持率が42%まで落ち込み「歴代ワースト2位」となった。その後も過去最低を更新し続け、今年5月には36%を記録(*1)。あまりの不人気ぶりに、2020年の大統領選ではバイデン氏を担ぎ上げた大手メディアが、24年の大統領選への再出馬を控えるよう勧告するほどだ。
挽回を狙うバイデン政権は8月1日、国際テロ組織アルカイダの指導者ザワヒリ氏を殺害したと発表した(*2)。9日にはアメリカの半導体産業を支援する「CHIPS法」を成立させるなど、一連の"成果"を受けてか支持率は40%に微上昇したが、歴史的低さに変わりはない(*3)。
(*1)それぞれ、米ギャラップによる10月22日公表、米ロイター/イプソスによる5月24日公表の世論調査。
(*2)米特殊部隊が11年にアルカイダ指導者ビンラディン氏を殺害した後、オバマ政権の支持率が上がったが、ザワヒリ氏殺害に関しては報復など状況悪化を懸念する向きがより強い。
(*3)米ロイター/イプソスによる8月9日公表の世論調査。
分断は深まる一方
「分断ではなく結束を」、「対立者を敵と見なしてはならない」。そう強調して当選したバイデン氏だが、分断は深まる一方だ。
昨年1月6日の米連邦議会襲撃事件を巡り、今年6月から公聴会が開かれたが、トランプ前大統領を悪と決めつけ罪を探す構造は"政治ショー"と指摘される。軍事史の権威であるビクター・ディビス・ハンソン氏は同公聴会を、フランス革命時に恐怖政治の核となった公安委員会になぞらえ批判する。
レーガン・トランプ両政権の経済顧問を務めたアーサー・B.ラッファー博士は、編集部の取材にこう語る。
「アメリカの歴史上、行われたことのない事態です。アメリカが他の国と異なるのは、政敵を罰しようとしないことです。しかし、選挙に負けるたび刑務所に入れられる南米諸国と同じような国になりつつあります」
今年8月にはガーランド司法長官の承認を経て、連邦捜査局(FBI)がトランプ邸への家宅捜査に踏み切った。元国務長官のヒラリー・クリントン氏は、北朝鮮の核兵器開発プログラムに関する情報など最高機密に分類される内容を私用メールで送受信したが、家宅捜査までは行われておらず、法律の恣意的運用だと指摘する声も上がっている。
約30年の軍歴を持つ元米海軍大佐のジェームズ・E・ファネル氏は、「もし米国民がこれを許容すれば、連邦政府への制御が利かなくなり、アメリカは中国共産党が統治する中国のような国になりかねません。合衆国憲法を定めた、建国の父らが描いたアメリカとは異なります」と懸念を示す。
大川隆法・幸福の科学総裁はバイデン氏の大統領就任時から、同氏に神の声が届かないことを明らかにし、6月には「ポスト・バイデン政権を真剣に考えるべきだろう」と指摘している(*4)。
前述したラッファー博士とファネル元大佐に話を聞き、アメリカがとるべき戦略を探った。
(*4)『バイデン守護霊の霊言』、『ウクライナ発・世界経済とアジアの危機』の「あとがき」(いずれも大川隆法著・幸福の科学出版刊)。
インタビュー/トランプ前大統領の経済顧問 アーサー・B. ラッファー博士
インタビュー/元米海軍大佐 ジェームズ・E. ファネル
アメリカは「宗教国家」の理想に立ち戻れ