2022年9月号記事

幸福実現党 党首

釈量子の志士奮迅

第115回

釈党首

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

宇宙時代の「産業革命」を

幸福実現党は国家存亡の危機を乗り越えるため、夏の参院選を戦わせていただきました。多大なるご尽力を頂いたすべての皆様に、心の底の底から感謝と御礼を申し上げます。

当選者を出すに至らなかったことは慚愧の念に堪えません。しかし日本から失われた信仰心の大切さを真正面から訴え、政府と真反対の政策を訴えたことに、宗教政党としての矜持を感じたというお声をいただけたことは、何よりもありがたいことでした。

幸福実現党の価値観の戦いに、引き続きのご支援を賜れれば幸いです。

「官製賃上げ」は逆効果

さて選挙では自民大勝の日本ですが、これからどうなっていくのでしょうか。

夏のボーナスは過去最高ということですが、実際のところ、自粛の反動で好業績が見込めた業界が中心で、物価高の影響は生活に重くのしかかっています。今年に入って食品6000品目以上が値上げされ、食卓から一品減らしたご家庭も多いと聞きます。特にエネルギー価格の上昇は死活問題です。電気代が爆上がりし、あらゆる商品価格にも連鎖しています。

そこで政府は、インフレ対策として企業や家庭への補助金のバラマキで対応する方向です。

加えて政府は民間企業に「賃上げ」を半ば強要しています。企業の内部留保を吐き出させるため、あの手この手を繰り出していますが、「捕らぬ狸の皮算用」に終わりそうです。

コロナ禍の3年間、ギリギリのところで経営してきた企業が賃上げを強要されれば、誰かの首を切らざるを得なくなります。その場合、技術が未熟な人や若手から首を切られる可能性が高いわけです。

そうした反作用が実際に起きたのが韓国です。文在寅前大統領は2017年の就任時、5年間で最低賃金を5倍にするという目標を掲げ、任期中に累計41.6%の賃上げを実行しました。その結果起きたのが、不況と若者の大量失業です。GDP成長率は低迷し、17年から19年にかけて、所得下位20%世帯の平均所得は日本円で月2万円近く減少しました。「官製賃上げ」は対インフレに効果がないどころか、状況を悪化させかねないのです。

根本問題に目を向けないまま、安易な解決策に走っても行き詰まるだけです。

幸福実現党は、参院選で「企業に活力を取り戻すため、『政府の減量』で巨額の財政赤字を減らす」こと、「原発の再稼働及び固定価格買取制度(FIT)を廃止して電気料金を抑制する」こと、「ロシアとの関係改善を行って食料やエネルギーの輸出入を回復させる」ことを訴えました。今後、日本政府は、この方向しか解決策がないことを確認することになるでしょう。

宇宙時代の産業革命を切り拓くのが宗教的真理

そして、厳しい時代の中で、企業や個人が生き残るために必要なのが、仕事の付加価値を高めるための「勤勉」と「創意工夫の精神」です。

今年の初め、名古屋市内にある「トヨタ産業技術記念館」を訪れました。世界のトヨタの源流である、発明家・豊田佐吉が完成させた織機等が展示されています。母親への愛、国家への報恩など、偉人伝の内容は知ってはいましたが、実際に、当時、世界最高性能の無停止杼換式豊田自動織機(G型)を目の当たりにすると、その精緻さと改善に改善を重ねた執念が気迫として迫ってきて、思わず知らず込み上げてくるものがありました。幕末から明治以降の日本は、繊維産業の技術が世界を驚かせ、外貨を稼ぐ手段として好景気をもたらし、製鉄や造船など近代化を推し進める財政的な支えともなりました。

政府が掲げる政策とはこれまた真逆ですが、未来社会が現在よりも素晴らしいものになるか否かは、「ものづくり」によって実需の経済を再建すること、すなわち未来産業育成への積極的取り組みにかかっていると言えるでしょう。これが繁栄を創り出していく根本策です。

ここで強調しておきたいことは、ものづくりの新たなフロンティアとして、宇宙やエネルギーなどが見込まれますが、現在の「唯物論科学」では未来を拓くことはできないということです。

大川隆法・幸福実現党総裁は7月7日、さいたまスーパーアリーナで開催された御生誕祭大講演会「甘い人生観の打破」において、「宗教的悟りを科学的真理と一致させること」「科学的真理そのものが、宗教的真理のなかにあるということを悟ること」が大事だと指摘されました。

神の経済学に基づいて、天上界の豊かさをこの地上で実現する主役は、肥大化した政府ではありません。民間です。それも、「新文明の創造」の使命を担った信仰者の中から未来産業を創造する人材が輩出されるのではないでしょうか。

未来産業を応援する法制度や仕組みも重要ですが、何より産業の発展とつり合うだけの宗教的な倫理観が必要です。

「未来はいつも、現在ただいまの中にある」と言われます。私たちはいま、破壊と混乱の時代にありますが、この危機の時代を生き延び、その先の未来文明に向けての「創造」を、開始しなくてはなりません。