2022年8月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第114回
幸福実現党 党首
釈 量子
(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/
政治に宗教が必要な理由
夏の参院選挙が近づき、全国で多くの皆様にお会いするなか、これまでのご支援に感謝の思いがあふれてきます。
宗教政党としてのわが党を理解してくださる方も増えてきました。今年1月、三重県津市議選では、党公認の長谷川植氏が当選しましたが、地元の伊勢新聞が「『誰に見られても恥ずかしくない政治を』と言い続けていたのは同党候補だけだったのではないか」と書いてくれました。逮捕者を出す詐欺事件後の選挙で、嘘をつかない宗教政党のあり方をご理解いただけたならありがたいことです。
宗教立国こそ世界の主流
一方で「政教分離」という戦後の「常識」から、「政策はいいが、宗教でなければいいのに」などというお声もいまだにいただいてしまいます。戦後の占領下、政治や教育から宗教を骨抜きにする憲法がつくられ、「宗教は政治に関わってはいけない」という誤解が生じました。これを払拭できず、忸怩たる思いです。
しかし、宗教立国こそ世界の主流です。米大統領は聖書に手をおいて宣誓し、トランプ前大統領や共和党の集会は祈りに始まるといいます。逆に、無神論国家・中国のような国では、神仏を恐れぬ独裁者が「現人神」となります。宗教は本来、政治の上位概念であり、徳ある為政者は謙虚に神の心、正義の判定基準に耳を傾けるべきです。
日本的信仰の限界
しかしここで、日本の精神風土の根底にある宗教の問題にも触れねばなりません。
大川隆法・幸福実現党総裁は「高等宗教には『教え』があります。(中略)宗教とは、価値観を提示し、物事の正邪を教えるものなのです」(*1)と説かれる一方、日本神道について「『お布施をしたら現世利益が来る』というあたりでとどまっていて、教えそのものはほとんどないことが多いのです」と指摘されています(*2)。
日本神道は「正邪を分ける価値観」が弱い面があります。「みんな神様」という考え方が日本仏教にも影響を与え、「死んだらみんな仏様」という「悉皆成仏論」が浸透しました。これは釈尊の思想とは真逆です。
本来の仏教では、思いと行いに応じた結果が出るという「因果応報」を教えます。死後は生前の心境に応じた世界に赴き、悪いことをすれば閻魔大王に裁かれ、地獄で鬼に叱られます。正邪を分ける価値観体系がなく、こうした世界観が示せなければ、反省の必要がなくなるため、自己中心的な人間が量産されてしまうのです(*3)。
本来、仏教と神道の融合体こそが日本の国体でした。聖徳太子以降、天皇が仏教に帰依し、それが日本の精神的主柱となってきたのです。しかし明治のころ、国家神道による「廃仏毀釈」で仏教的価値観を追い出してしまったため、戦後は特に、憲法の解釈改憲など、搦め手から攻めていくような政治が行われています。天狗や妖怪の知恵比べや力比べによる権謀術数の政治からは、世界的な正義など出てきません。
私たちは「保守」に分類されますが、日本的信仰の限界を超えた骨太な価値観体系を持った宗教政党です。聖徳太子の時代のような、日本を世界に誇る精神大国に変えていくことも私たちの使命だと考えています。
(*1)大川隆法著『繁栄の法』(幸福の科学出版)
(*2)大川隆法著『人として賢く生きる』(幸福の科学出版)
(*3)日本には天狗や妖怪が多く、天国・地獄の考え方を嫌います。これは聖徳太子が日本に仏教を導入して以来、日本神道と対立する大きな論点です。
「地球を護る者」への信仰を
幸福実現党は「自由・民主・信仰」が政治の基本原則だと考えています。世界の未来を切り拓き、国民を幸福にするためのチェックポイントだからです。
そして、私たちが訴える「信仰」とは、「地球全体のことを考える神への信仰」です。
現在の世界ではユダヤ・キリスト教的正義が支配的ですが、これでは現在のロシア―ウクライナ戦争と、それを煽った欧米の正邪は判定できません。地球を見渡せば、無神論国家の中国を封じ込めるため、中露を離間させる外交が必要であること、ロシアを敵に回して三正面作戦に巻き込む日本外交の過ちが分かります(*4)。他にも、神仏が定めた性差をなくすLGBTQの間違いも見えてきます。神の心を忘れた自由は堕落への道なのです。そして、政権維持に有利だという動機で人々を堕落させるようなバラマキ政治は許されません。財政赤字の基礎にある欲望を離れ、感謝と利他を教える「新しい経済学」に基づく政治を実現していくのみです。
神への信仰が無ければ、いかなる政治体制も虚しいものとなります。宗教政党だからこそ、人々を幸福に導けるのです。新文明建設の時と心得、戦い抜いて参ります。