12日付米紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンで、インドの新聞の編集者で小説家でもあるマヌ・ジョセフ氏が、平均的インド人は今回のビンラディン殺害とパキスタンをどう見ているかを書いている。

  • インド人の多くはビンラディンがパキスタンで見つかって、いい気味だと思った(relished)。ビンラディンがパキスタンでかくまわれていたことで、パキスタンが「テロと戦う国」ではないことが明白になった。
  • なかでも一番喜んだのは、世界中からインドとパキスタンを一緒くたにして扱われることに憤慨しているタイプのインド人たち。彼らに言わせれば、現代のインドは民主主義と新資本主義とヒンズー教の明確な道徳によって形づくられている。ヒンズー教は他の宗教に対しても寛容で平和な宗教だが、隣のパキスタンでは今年もイスラムの神アッラーを冒涜したとして女性が死刑宣告を受けた。
  • インドとパキスタンは過去3回戦争をしている。パキスタンの前大統領であるムシャラフ将軍は最近インドのテレビ番組のインタビューを受け、インド人のインタビュアーから「なぜパキスタン軍は米軍のヘリコプターをレーダーで補足できなかったのか」と聞かれて、無味乾燥な調子でこう答えた。「パキスタンのレーダーはほとんど、お宅の国の方を向いてるからね」。あるパキスタン人ジャーナリストは言う。「パキスタン軍の存在理由は即ち、インドに対抗することだ」
  • インド政府はパキスタンの複雑な内情を理解しているが、平均的インド人はパキスタンの指導層と一般国民の違いなど分からず、パキスタン人とはインド人を爆弾で木っ端微塵にしようとする連中だと思っている。だがインド人がパキスタンを訪れると、一般国民が親切にしてくれることに驚く。本当のパキスタン人はインド人が想像するのとは大きく異なる国民なのだ。

メディアを通して知る国際情勢はセンセーショナルなものや特定の意図を持ったものが多く、各国の一般国民の実像は必ずしも分からない。インドとパキスタンは宿敵同士と見なされ、平均的インド人はパキスタンに強い反感を持っているが、こうした国家間の対立感情を民間交流のレベルで解きほぐす努力も重要と思われる。

平均的インド人は元々パキスタンに対し強い反感を持っている。今回のビンラディンのパキスタン潜伏という事実は彼らにとって、パキスタンの邪悪さを証明した形になった。(司)

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