《ニュース》
交流サイト大手・ツイッターが25日、米電気自動車(EV)メーカー大手・テスラのCEOイーロン・マスク氏による買収を受け入れると発表しました。買収総額は440億ドル(約5.6兆円)になる見込みです。
《詳細》
自由を重視するリバタリアンだとされるマスク氏はこれまで、ツイッターによる検閲行為に苦言を呈し、「表現の自由」を主張してきました。
その上で昨年11月、マスク氏の盟友とされるジャック・ドーシー氏(ツイッターの共同創業者で前CEO)が、物言う投資ファンド・Elliott Management Corporationの要求を受ける形でCEOを退任すると、マスク氏は自身の投稿を通してツイッター株を取得する意図を示唆してきました(ドーシー氏は取締役となったが、2022年中に取締役からも退く見込みとされていた)。
その後、今年3月14日までにマスク氏はツイッター株の5%を確保し、4月4日には9%超を保有していることが明らかに。
これを受けてツイッターは翌4月5日、マスク氏を同社の取締役に指名すると発表しました。同社CEOのパラグ・アグラワル氏も同日、「この度、マスク氏を役員に任命することになりました!」「彼はツイッターの熱烈な信奉者であると同時に激しい批判者であり、それこそまさに、我々が長期的に強くなるためツイッターと取締役会に必要なものだ」とツイートし、歓迎の意を示しています。
しかしマスク氏はこれを辞退。14日には、ツイッターの株式を1株あたり54.20ドルで全て取得することを提案しました。総額は430億ドル、日本円でおよそ5兆4000億円にあたります。
マスク氏による提案を敵対買収とみたツイッターは翌15日、「毒薬条項(Poison Pill)」と呼ばれる防衛策をとると発表。来年4月14日までの限定措置として、特定の投資家が取締役会の承認なく15%以上の普通株式を取得した場合に、他の既存株主が割安で株式を追加購入できるようにし、買収を阻止するとしました。
しかし、21日にマスク氏が買収に向けた資金調達計画を発表すると、ツイッター株主がM&A(合併・買収)の好機を逃さないようツイッター側に訴えたとのこと。
これを受け24日から同社はマスク氏との交渉を開始し、この度、買収の受け入れを発表した運びです。
マスク氏の盟友であるドーシー氏はこの発表を受け、「マスク氏は私が信頼できる唯一の解決策だ」「ツイッターという会社は、私にとっての唯一の問題で、最大の後悔であり続けてきた。ウォール街と広告モデルに染まってしまったツイッターを取り戻すことが、正しい第一歩になる」と投稿しています。
買収後、マスク氏がどのようにツイッターを改革するかについてはまだ不透明ですが、投稿の表示順序などを決める「アルゴリズム」の公開(オープンソース化)、投稿後に誤字や脱字を修正できる「編集ボタン」の導入、機械を使って投稿内容を拡散する「スパムボット」への対策などを表明しています。
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