ヘリテージ財団のディーン・チェン、デレク・シザーズ両研究員が、部品を通じてコンピューター・システムに忍び込ませる形での中国のサイバー攻撃の危険性について、5日付のレポートで以下のように論じている(ヘリテージ財団ホームページより)。両氏によれば依然として危険性は漠然としたものではあるが、その手法は現代版「トロイの木馬」ともいえる。

  • 従来型のものに加えて、インターネットのインフラに忍び込ませる形のサイバー攻撃に対する懸念が、最近高まってきた。
  • この新型サイバー攻撃は、偽の部品を用いるものや、システムに入り込むタイプなどがある。故障を頻発させたり、情報流出を引き起こしたりすることによって、ゆくゆくは情報システムの転覆につながりかねない。
  • コンピューター・チップを含むインターネット部品の最大の供給元という強みを生かし、中国がアメリカや同盟国のネットワークをかく乱するのではないかという懸念が強まっている。中国は、ネット上のドメイン名を振り分けるDNSサーバーの操作に、既に国内で成功しているが、偽の部品を使うことで他の国にサーバーを置くネットワークにも影響を与える恐れがある。
  • 一方で、こうした懸念に貿易政策では効果的に対処できない。まず輸入品の取り締まりには検査のコストがかかる上、部品の調達が高価になるなどうまくいかなくなる。また、安全保障上の理由であっても、保護主義的な傾向を打ち出せば世界の貿易に影響が及ぶ。
  • よって現段階では、脅威をどの程度公の場で論じることが可能なのかに応じて輸入規制は慎重にするべきだが、国防総省は情報公開に努め、この問題についての理解を促すようにするべきである。

ミサイルや空母などの表立った軍拡と並行して、相手と軍事的に事を構えることなく勝利を収める戦略も、中国が着々と進めていることに注意が必要である。部品調達元の多様化や、脅威に対して同盟国と協調して対処することなど、リスクをヘッジする重要さを思い知らされる。

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