《ニュース》

米国で建設される「高速炉」(実証計画用)の開発について、日本原子力研究開発機構と三菱重工は26日、米原子力新興企業テラパワー社と、技術協力の覚書を締結しました。

《詳細》

高速炉は次世代原子力発電所の一つ。高速の中性子の性質を利用することで、従来の原発よりも効率的に燃料を燃やすことができます。

福井県の「もんじゅ」はその一種ですが、使った以上にプルトニウムが増える、「高速増殖炉」という特殊なタイプでした。日本は、半永久的に核燃料を利用する「核燃料サイクル」の実現を追求してきましたが、それには単なる高速炉ではなく、「高速増殖炉」が鍵となります。

しかし「もんじゅ」は長年の運転停止に続いて2016年に廃炉が決定。高速炉研究は、日本において停滞していました。日本はフランスにおける高速炉開発計画への参加に軸足を移そうとしていましたが、それも仏政府の判断で凍結。開発プロジェクト不在のなか、「もんじゅ」の技術者も次々に退職していくなど、技術の維持・後継継承が危ぶまれている状況でした。

そうした中で今回、ビル・ゲイツ氏が出資するテラパワー社が、米エネルギー省の支援でワイオミング州に高速炉(28年運転開始予定)を建設する計画を策定。日本側はこれに技術協力することで、技術維持・発展につなげていくことを目指します。

今回の高速炉は「高速増殖炉」ではなく、日本が追求してきた「核燃料サイクル」は想定していません。しかし、冷却材にナトリウムを使うという点などで「もんじゅ」と共通しています。空気と触れると激しく燃えるナトリウムを扱う技術は、「もんじゅ」などの開発や、大騒ぎになった"失敗"なども含めて日本側に相当の知見の蓄積があります。そこに高速炉の開発実績に乏しい米側が、注目した形です。

《どう見るか》