《本記事のポイント》

  • 日本政府がようやく中国政府のウイグルでの人権侵害の非難決議を採択の方向
  • しかし決議案は「中国」「侵害」「非難」などの言葉を抜いた腑抜けなもの
  • 日本も欧米のように「ジェノサイド」と認定し、声を上げよ


中国政府による新疆ウイグル自治区などでの人権侵害行為を非難するための国会決議について、自民党は2月1日にも採択する方向で各党と調整に入った。1月20日付産経新聞が伝えている。

決議はこれまで、複数の超党派国会議員連盟などから各党に働きかけがあったが、自民・公明両党が難色を示し、二度にわたって採択が見送られた経緯がある。

決議案から「侵害」「非難」「中国」が抜かれた

決議については18日、自民党の茂木敏充幹事長がBSの番組で、「おそらくこの国会で私は成立できると思う。これは全会一致でやりたい。まず各党の関係者に党内手続きを取っていただくことが重要だ」と述べていた。

自民党幹部は19日、立憲民主党や日本維新の会の幹部らと決議案文を示した上で採択の日程などを協議。調整が進められている。

決議案は昨年末の自公間での修正協議で、当初案の「人権侵害」が「人権状況」に、「非難決議案」から「決議案」に変更された。「中国」という国名もなく、対中非難としては不十分という声も上がっている。

日本も「ジェノサイド」と認め非難すべき

欧米が、中国政府によるウイグル人などへの所業を「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定して制裁を科すなか、日本は追随するでもなく、何のアクションを起こしていない。ようやく決議が行われるようだが、遅きに失した印象はぬぐえない。

しかも、「中国」「侵害」「非難」などのキーワードを削除した決議では、「人権侵害を非難するための決議」とは程遠く、情けないと言わざるを得ない。

本誌や本欄で何度も報じてきたように、中国政府によるウイグル人など少数民族に対する弾圧や虐殺は疑いようがない。世界各国で元収容者など体験者らがその凄惨な現状を訴えているが、中国は否定し続けている。

本誌2022年1月号でも、ウイグルの強制収容所に収容された経験のあるカザフ人のサイラグル・サウトバイさんに取材(未来はまだ変えられる 「メシアの法」とは何か - Part 1 )。サイラグルさんは「中国は収容所のことを『職業訓練所』と称していますが、内部の状況は大変酷く、強制収容所そのものです。拷問、強姦、暴力、洗脳が行われ、人間としてとても耐えきれない状況が続く、生き地獄でした」などと証言し、「日本政府は、中国がジェノサイドを行っていると認めてください。中国にとって大きな圧力になります」と訴えた。

日本政府は、「中国」「侵害」「非難」などを削除した腑抜けた決議ではなく、欧米を踏襲して中国の「ジェノサイド」を認定し、非難すべきだ。これ以上中国への忖度や過剰な配慮を続けた場合、欧米から見限られ国際的に孤立する可能性も考えるべきだろう。

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2021年1月27日付本欄 日本は「ウイグル族へのジェノサイド」を認めないと表明 外務省、官邸は恥ずかしくないのか!

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