《ニュース》

日本で昨年、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って政府が出した一斉休校要請に、感染拡大を防ぐ効果がなかったとの研究結果が、10月27日の科学誌ネイチャーメディシン電子版に掲載されました。

《詳細》

この研究では、学習院大と静岡大、米ハーバード大の研究チームが、27都府県の847自治体を対象に、2020年3~6月の人口当たりの感染者数について、小中高を休校にした自治体としていない自治体の間で比較しました。比較の際には、人口における子供の割合や医療状況、自治体の財政状況など、条件が似ている自治体同士をペアにして比べています。

その結果、統計的には、一斉休校をしたかどうかによるはっきりした違いは見られなかったことが分かりました。

論文では、学校の閉鎖によって、学習機会の損失や、将来の収入の減少、心身の健康への悪影響、さらには虐待や、医療従事者を含め、保護者が働けなくなるなどのデメリットがあると指摘。一斉休校に、デメリットを上回る感染予防効果があるどうかの検討が必要だが、研究者間でも合意に達していないと指摘しています。

研究チームの学習院大学・福元健太郎教授は、子供が感染しやすいデルタ株の流行が始まっていることから、休校の感染予防効果が当時とは変わっている可能性があるとしつつ、「政府は今後、休校を要請するにあたって、慎重に検討すべきだ」(1日付朝日新聞)とコメントしています。

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