2021年8月号記事

Divine Economics

サプライサイド経済学の父 ラッファー博士

フラット・タックスが繁栄をもたらす(前編)

Part 13

レーガン米政権およびサッチャー英政権で、大型減税により税制をフラット化に近づけたラッファー博士に、フラット・タックスの意義について聞いた。

(聞き手 長華子)

トランプ大統領の経済顧問

アーサー・B.ラッファー

(プロフィール)
1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。

──ラッファー博士は誰もが同じ税率で税金を納めるフラット・タックスを提唱しています。博士の1984年の「完全なフラット・タックス」という論文では、所得税、社会保障税、法人税、キャピタルゲイン税、相続税、贈与税といった全ての連邦税を廃止し、代わりに法人所得税と個人所得税に対し、12%弱の一律課税にする。また控除は必要最小限とするというものでした。この構想はレーガン政権の86年の大型減税で取り入れられています。

ラッファー博士(以下、ラ): 86年の大型減税で、16もあった税率区分を2つに簡素化し、所得税の最高税率を50%から28%に、法人税の最高税率は46%から34%に下げました。これは税率の最小化と課税ベースの広いフラット・タックスに向けての運動でした。その後40年間にわたってアメリカに繁栄をもたらしたのです。

この税制は多くの国で受け入れられていますよ。例えばロシアです。

オハイオ州の経済学者で友人のリチャード・ヴェダー氏は、当時ロシア政府のアドバイザーをしていたのですが、私のフラット・タックスをプーチン大統領に伝えました。プーチン氏は13%の減税法案を作成する際に、それを取り入れたのです。

 

次ページからのポイント

フラット・タックスを掲げて出馬すると多くの支持者を獲得する

フラット・タックスが必要な3つの理由とは

税控除で貧困層を救うと起きる問題は何か