2021年7月号記事
いよいよ始まった
ウイグル化する香港
新疆(ウイグル)の武装警察を投入し、新疆式"収容所"を建設──
今日の新疆、明日の香港、明後日の台湾、明明後日の日本──。
2019年、香港のデモ隊たちが訴えていた言葉だ。
もう、お題目では済まなくなっている。
起きている事実に向き合うのはつらいかもしれない。
それでも情報公開と国際社会の監視で、彼らを救う必要がある。
香港に国家安全法(以下、国安法)が導入されて、約1年が経つ。世間の関心はコロナや米大統領選などに向いていた。しかしその間、香港はまったく別の都市に変貌している。
まず"表に報道された"民主派弾圧の経緯を整理してみたい。
2019年の大規模デモでは、当局が若者たちに放水車、催涙弾、ゴム弾、時に実弾で攻撃を加えた。大量の活動家を逮捕し、発表によるとその数は1万人を超える。
20年6月30日、国安法が成立・施行した。今までに、少なくとも100人近くが同法違反で逮捕されたことが分かっており、彼らは裁判の判決を待っている(21年5月中旬時点)。同法の最高刑は「終身刑」と重い。中国本土に移送されて裁判が行われる可能性もあるという。
さらに国安法により、中国政府直轄の秘密警察組織「国家安全維持公署」が設置された。
こうした状況に危機を感じ、活動家12人が同8月、ボートで台湾に脱出しようとした。しかし中国海警局に拘束され、本土に連行された。
密告用のホットラインも
当局は同11月、国安法違反者を密告するためのホットラインを開設。香港中の親中派から4万件の通報が殺到しているという(21年2月時点)。
さらに当局は、国安法にもとづいて学校への「愛国教育」導入を加速。「愛国者」以外は議員になれない制度改革も行っている。
もう十分に深刻だ。もう十分に、人権弾圧として国際社会が断固阻止すべき状況となっている。しかし編集部の取材により、その奥でさらに恐ろしいことが起きていることが分かってきた。
香港のウイグル化が、始まろうとしている。
活動家が行方不明になり消えていく
1年間で6千件もの不審死
香港版・強制収容所を建設か?