2021年7月号記事
Divine Economics
サプライサイド経済学の父 ラッファー博士
サッチャーとの出会い(後編)
Part 12
イギリスのマーガレット・サッチャー首相とも旧知の間柄であった博士に、
サッチャー氏の減税政策や政治的資質について語ってもらった。
(聞き手 長華子)
アーサー・B.ラッファー
(プロフィール)
1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。
──ラッファー博士は、サッチャーさんとレーガンさんのお二人の間をつないでこられました。
ラッファー博士(以下、ラ): サッチャーとレーガンが最初に出会ったのは、私のゴット・ファーザーでレーガンのキッチン・キャビネットを取りまとめていたジャスティン・ダートのイギリスのアパートでした。レーガンのためにロンドンでパーティを開催した時にサッチャーも参加。その時、確かにお会いしたのですが、レーガンには記憶がないと言います。
お互いを認識したのはカナダのオタワで開かれたG7の時です。開催国カナダのピエール・トルドー首相(当時)が、サッチャーに対して非常に失礼な態度を取り始めたことにカンカンになったレーガンは、サッチャーに「僕が君の扱いに怒っていることは知ってほしい」と言いに行った。
それに対してサッチャーは、「ロニー、心配いらないわ。私たち女子は、男子は、ただ男子として振舞っているにすぎないと分かっているのよ」と応えた。
この話をレーガンが我が家の昼食会でしてくれた時、私の友人の一人がたまたまビデオを撮影していました。そのビデオを、サッチャーとのニューヨークの21番クラブでの会食で、サプライズ上映したのです。その場にいた6、7人の友人に、サッチャーやレーガンはどんな人物なのかを知ってもらいたかった。そして、テレビでよく見る姿とは異なり、どれだけ人間的な面があるかを知ってほしかったからです。
上映し始めたら、サッチャーは「まあ、なんて素晴らしいの」と言いながら泣き始めた。本当にかわいらしい女性でした。普通の人たちと同じように怒ったり笑ったり、そんな人間的な面がある。それでいて美しく、賢く、強くて、素晴らしいリーダーだった。あらゆる属性が集まってサッチャーという素晴らしい人物を形づくっていました。
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