2021年6月号記事

地域シリーズ

幸福実現党はあなたの街をどう変えるか

岩手・青森・秋田で実像に迫る

全国で40人を超える地方議員を擁する幸福実現党。
現職議員らに取材し、その活動を追った。

(編集部 片岡眞有子)

岩手県・盛岡市

盛岡市議会議員

櫻 裕子

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岩手県の県庁所在地、盛岡市。約30万人の人口を擁するこの都市で、市民の心と心をつなぐ活動が広がっている。

まだ寒さ厳しい4月初旬、盛岡市内の一角では、商店街の責任者や町内会の関係者などが集い、ある会議が開かれていた。

議題は、翌月に開催を予定するイベント・クラフト市の詰めだ。多数の手芸作家が出店し、商品を販売するもので、2019年には4千人ほどの来場者が訪れる大盛況ぶりを見せた。昨年は新型コロナウィルスの影響で中止となったが、開催を求める市民の声に押され、今年は感染症対策を徹底した上で行うことが決まった。

コロナ禍だからこそ、安心して触れ合える場を創りたい──。主催者である盛岡市議・櫻裕子氏はその一念で会議を進める。

「クラフト市の始まりは、13年に地域で開いた音楽祭でした。地元の園児や学生が演奏などをする、小規模なものです。回を重ねるごとに反響を呼び、地域に愛されるイベントに。そこから派生する形で、新たにクラフトに特化したイベントを開くことになりました」(櫻氏)

櫻氏は11年から盛岡市議会に奉職。現在は3期目で、議会運営委員長を務める中核メンバーだが、地元のテレビ局やラジオなどに出演していたフリーアナウンサーでもある。その関係もあって、前述の音楽祭では司会として活躍し、クラフト市の開催にあたっても実行委員に名を連ねた。

「盛岡でも核家族化などが進み、人と人のつながりが希薄になりがちです。ですが私自身、約30年この地に住んでおり、普段から地域ぐるみで交流して信頼関係を築き、困った時には助け合ってきました。一連のイベントが、温もりある街づくりの一助になればと思っています」(櫻氏)

世代間を超えた地域の絆の復活を

櫻氏が言う「つながり」は、世代間を超えたものを指す。

現在、盛岡市内では16の民間団体により、各地で「子ども食堂」が開かれ、温かく栄養のある食事を、低額または無料で提供している。櫻氏も初期から運営メンバーとして携わり、厨房に立って調理する。

「ひとり親や経済状況が厳しい家庭など、さまざまな環境の子供たちが食堂に来ます。もっと子供たち一人ひとりの状況を理解し、行政と密に連携したり、もしくは、定年退職して何か社会貢献したいと思っているシニアの方とつなげて子育てをサポートしたりするなど、こまやかに対応していきたいと思っています。これからの課題ですね」(櫻氏)

かつては、育児経験のある高齢者が若い夫婦の子守りを手伝い、若い世代も高齢者の安否を常に気にかけるなど、助け合うカルチャーの中で、自然と地域全体で子供を育てる土壌があった。櫻氏は、人と人が触れ合う場を増やすことで、赤ちゃんからシニアまで、世代を循環して支え合える地域を目指したいという。

国境を超えた、ユニークな交流もある。盛岡秋まつりとして地元で親しまれる「盛岡八幡宮例大祭」の山車は、2002年から台湾東部・花蓮市に繰り返し派遣されており、19年には櫻氏も議員団の一員として現地を訪れ、地元民と交流を深めた。

「かつて台湾総督府に技師として赴任した新渡戸稲造は盛岡出身です。現地の博物館では、製糖業を牽引した功績が称えられていました。他にも、先駆的な都市構想を打ち出した後藤新平など、岩手は多数の偉人を輩出しています。温もりのある地域社会を通して、感謝と郷土愛を育み、世界の発展に資する人材を育てたいと思います」(櫻氏)

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〈左〉花蓮市のパレードに参加する盛岡市議会議員団(櫻氏提供)。盛岡市は19年、花蓮市と友好都市協定を結んだ。
〈中〉「子ども食堂」では、栄養満点の料理が並ぶ。
〈右〉クラフト市には家族連れの参加者も多く訪れ、賑わいを見せる(写真は19年のもの)。

 

次ページからのポイント

岩手県 紫波町議会議員 髙橋 敬子氏

岩手県 金ケ崎町議会議員 平 志乃氏

青森県 大鰐町議会議員 竹内 富士子氏

青森県 八戸市議会議員 上条 幸哉氏

秋田県・幸福実現党 秋田県本部代表 佐藤 純郎氏