2020年9月号記事
今年の下半期に懸念すべき最大のリスクの一つは、
「コロナ恐慌」に伴う自殺の増加だ。
自殺を減らすため、私たちができることとは─。
(編集部 河本晴恵、山本慧)
contents
令和恐慌にコロナうつ…でも、自殺は絶対ダメ! Part 3 - [体験談集] なぜ自殺を思いとどまれたのか?
体験談集
なぜ自殺を思いとどまれたのか?
コロナの第二波が起きれば、日本列島は自粛圧力に覆われ、経済活動の自由を失い、多くの人が路頭に迷う恐れがある。
東京商工リサーチによると、第一波の影響により、今年上半期に早期・希望退職者を募集した企業は41社に上り、リーマン・ショック後の2010年以降で最も多い数字となった。今後自殺も増えるだろう。
ここで、自殺を思いとどまったエピソードを紹介したい。経済問題、人間関係、病気の3つの悩みから、命をつないだ体験談をお届けする。
体験談1
借金からの自殺を止める
京都府在住の男性Aさん(68歳)
20年前の2000年、日本銀行のゼロ金利政策の解除などにより、日本経済は不景気に突入していた。百貨店「そごう」や保険会社「協栄生命保険」などの名だたる企業が倒産。失業率は4.7%となった。
大阪市で衣服の企画生産を行うAさん(当時48歳)の周囲にも不況の波が襲った。取引先の社長Bさんが小切手などを決済できない不渡りを出し、会社を閉めるつもりだということが耳に入った。不渡りを出せば、会社の信用を失い、銀行からお金を借りられなくなり、資金繰りの行き詰まりで、倒産に直結する。
Aさんは、Bさんから債権(売掛金)を回収できなくなるのは時間の問題と考え、他社に資産を差し押さえられる前に、お金を回収しようと会社を訪問した。
夜逃げか、保険金目当ての自殺か
とても正直だったというBさんは沈痛な面持ちで、「会社を閉めようと思う。借金から逃れるために夜逃げでもするか、自殺して保険金で返すしかない」と漏らした。
Aさんは「お金を回収できる状況ではない」と思うと同時に、「人間は肉体がなくなっても、魂として生き続ける。死んでも終わりではない」という幸福の科学の教えが頭をよぎる。
(この人を死なせたらあかん)
急いで自宅に戻ると、幸福の科学の書籍『太陽の法』を本棚から取り出し、再びBさんの元を訪れた。
Aさんは幸福の科学の信者だったが、他人に教えを勧める伝道の経験をしたことはなかった。うまく説得し、自殺を止める自信などない。
(何と言えばいいのか……)
そして咄嗟に出た。
「自殺しても何にもええことはあらへん。この本を読んで考え直してほしい。残された従業員のことも考えて!」
Bさんは書籍を受け取った。
『太陽の法』にはこんな一節が記されている。
「人間は、生きてゆく過程において、さまざまな困難にぶつかります。つまり、そうしたなかで、魂の修行をしていくわけです。(中略)人生とは、苦悩と悲しみに満ち満ちているものかもしれません。しかし、苦悩には苦悩の意味があり、悲しみには悲しみの意味があるのです。つまり、苦悩や悲しみがあるということは、私たち人間に、選択をせまっているのです。選択とは、何か。つまり、私たちのひとりひとりが、与える側の人生を選ぶか、与えられる側の人生を選ぶか。その選択です」
再び生きる意味を見出したBさんは自殺を思いとどまり、会社を清算する決意を固めた。そして現在も健在であるという。
当時について、Aさんは「当たり前のことをしただけです」と振り返る。
一般的な自殺防止対策は、生き永らえさせることが目的となっている。だが本当の救済とは、人生の真実を伝え、魂修行を全うしてもらうことだろう。
Column 自殺で注意したい「時・所・場合」
体験談 自分を愛せて、息子を愛せた
難病を抱えて生きる意味
「自殺を減らす」ためにできること