エチオピアで発生した蝗害。
《本記事のポイント》
- 中国のチワン自治区で、バッタなどによる大規模な蝗害が発生
- サバクトビバッタの襲来と自生イナゴなどのダブルパンチの可能性も
- 食料自給率が先進国最低の日本も大きな被害を受ける
中国の広西チワン族自治区桂林市全州県で、バッタなどによる大規模な蝗害(こうがい)が発生したとNTDTVなどが報道している。同県は農業がさかんで、稲やトウモロコシ、柑橘類などの農作物に大きな被害が出ている。
中国では6月初旬、中国の主要米産地である東北の吉林省、黒竜江省でもイナゴが観測され、1平方メートルあたりに50匹が密集するほど大量発生したと報道されている。6月中旬には湖南省永州市寧遠県で、自生したとみられるイナゴによる被害があった。住宅や庭がイナゴで覆いつくされ、住民は窓を開けることすらできなかったという。
中国の穀物の24%が消える?
チワン自治区で発生した被害におけるバッタの種類は定かではないが、現在、世界的に問題となっているのがサバクトビバッタだ。
アラビア半島を襲ったサイクロンによって大発生したサバクトビバッタは、アフリカや中東、南アジアで猛威を奮いながら移動を続け、5月上旬にはインドに侵入。早ければ6月末には中国に上陸していたと見る専門家もいる。パキスタンは数千億匹のバッタに襲われ、農作物全体の約15パーセントが被害に遭った。
中国の蝗害は、日本にとっても他人事ではない。食料自給率が先進国で最低レベルの日本は、食糧の多くを輸入に頼っている。
本誌6月号で行った、中国がパキスタンで生じた15%の被害と同規模のサバクトビバッタにおける蝗害が起きた場合のシミュレーションによれば、バッタにより、中国の穀物の9%が消え、パキスタンでもっとも被害が大きかった地域と同程度の被害を受けた場合は、中国の穀物の24%が消えることがわかった。
そうなれば、食糧輸入大国でもある中国は、緊急輸入をせざるを得ず、世界の穀物価格が高騰する。日本も大きな影響を受けるはずだ。
イナゴとバッタのダブルパンチの可能性も
さらに、中国で自生したイナゴと、サバクトビバッタの中国襲来のダブルパンチという最悪の事態も予想される。広西チワン族自治区桂林市全州県における被害も、現時点ではバッタの種類がはっきりしていないが、いずれにせよ、バッタによる蝗害が広範囲に広がり始めていることは確かなようだ。
本誌では数号にわたり、新型コロナウィルスやバッタの影響などにより、世界的に食料の生産が減り、日本でもスーパーの食品が7割減る可能性があるとして、食糧危機を警告してきた。危惧してきた中国の蝗害が現実のものとなりつつある今、日本政府、そして、私たちは危機に備えなければいけない。
【関連書籍】
『ザ・リバティ』2020年7月号
幸福の科学出版
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