今回の東日本大震災では、津波防波堤や防潮堤が次々と壊れて市街地まで津波が侵入したことを受け、今後の防災対策について問う記事を、10日付け朝日新聞が掲載している。

記事によると、岩手県・釜石港の津波防波堤は全長1960mで、深さ63mの海底に巨大コンクリートを沈めた「世界最深」としてギネス認定を受けていたが、今回の津波で崩壊。見出しでは「『世界最深』も崩れる」と謳った。

しかし記事をよく読むと、この堤防は地震前に水面から出たコンクリート部分の高さは約6mしかなかったという。筆者は今月上旬に岩手県・宮古市田老地区を訪れ、総延長2.4kmの「日本一の防潮堤」を見てきたが、長さは日本一であるものの、高さは10m。この防潮堤も壊れていた。

マスコミ各社は「世界最深」「総延長、日本一」の堤防が壊れたとセンセーショナルに報じがちだ。しかし、たとえば、今回取材した岩手県普代村は、周辺の市町村で数十人、数百人単位で犠牲者が出る中で、「死者ゼロ、行方不明者1人」という最小限の被害にとどまった。それは、この村にある高さ15.5mの水門、防潮堤が津波を押しとどめたからだ。

福島原発と同程度の津波が押し寄せたにもかかわらず大きな被害がなかった宮城県・女川原発は、海面から14.8mの高さの敷地に整備していた。そのため、原発施設内は被災者の避難所にもなっている。

原発報道も同様だが、大きな災害に見舞われると多くのマスコミは、まるで「人類は自然の脅威には勝てない」とでも言うような「昔返り」の記事を書く。しかし、いつの時代も人間の英知で自然の脅威を乗り越えてきた。今回の震災も、人類が乗り越えるべき課題として受け止め、より一層の発展を目指すべきだ。(格)

参考記事

【東日本大震災特集】第二部 緊急提言「大震災復興プラン」大川隆法総裁「震災復興への道」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1649

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