写真:Alexander Oganezov / Shutterstock.com

《本記事のポイント》

  • 片寄った情報に基づくトランプ大統領のニュースが拡散
  • 大統領選を控えたトランプ氏に対し、反トランプメディアの攻撃が本格化
  • メディアの印象操作に惑わされない知恵を持つことが大事

黒人男性が白人警官に殺害された事件をきっかけに、全米各地で広がっているデモ。これを契機に、反トランプ派の米メディアが、トランプ大統領が人種差別主義者であるかのような「悪事」を並べている。しかし、「悪事」と言えるものかといえば、そうでもない。

CNNは5日、トランプ氏のデモ隊への対応を批判する記事を投稿。「トランプ氏は、フロイド氏の死を非難して正義を示そうとしているが、人種差別主義者としての過去がある彼は自らの偏見を見直すべきだ」と指摘している。

しかしトランプ氏は1日の会見で、「平和的なデモ活動は支持しているし、彼らの声にも耳を傾けている」と発言。FBIと司法省に、この事件の調査を早急に行うよう指示している。

トランプ氏が人種問題に理解を示し、適切な対応を講じていることを、メディアは公正に報じていない。

「催涙弾」など使われなかった

さらには、トランプ氏が平和的なデモ活動を止めようとしているかのような印象を与えうる報道がされている。

米紙ワシントンポストは2日、「トランプ氏の会見を塞ぐデモ隊に催涙弾」という見出し記事を掲載。トランプ氏が会見に向かう道をあけるために、警察がデモ隊に向かって催涙弾を撃ち込んだ、と報じた。

しかし、地元メディアのワシントントップニュース(WTOP)は、公園警察は催涙弾を使っていないと報道。公園警察の広報官も催涙弾の使用を否定している。

「連邦軍の配備」発言の背景とは

またトランプ氏が、「市や州が住民の生命や財産を守るのに必要な措置を講じることを拒否する場合」は、連邦軍を配備する考えがあると発言したことに批判の声が上がった。

同氏が「連邦軍配備」に言及した背景には、民主党の知事が率いるニューヨーク州などで、デモが過激化した際に治安維持のために、警察を支援する州兵の派遣をためらう例が見られたことがある。

ただ、米調査会社モーニング・コンサルトによれば、アメリカ国民の58%が連邦軍の出動に賛成しており、反対は30%にとどまっていた。暴動が過激化する中、「罪のない平和な市民」を「一部の暴徒化した市民」から守るための施策であると受け止められているようだ。

なお、連邦軍を出動させることのデメリットは軍内部からも指摘されていたが、トランプ氏は現在、デモの対応には州兵が当たっているため、連邦軍の派遣は必要ないとしている。

大統領選を見越した偏った報道

このように、アメリカにおいて、トランプ氏に関する偏向した報道が増えている背景には、今年11月に控える大統領選への目論見があるのではないか。

大統領選をめぐっては、トランプ氏の対抗馬として民主党のジョー・バイデン氏が立候補している。反トランプ派のメディアは同氏を勝利させるために、トランプ氏が「人種差別主義者」や「平和的なデモ隊に武力を用いる人物」であるなどの印象を植え付けようと躍起になっているようだ。

反トランプ勢力が大統領選に向けて、トランプ氏を邪魔する狙いが見え隠れする。

トランプは人種差別主義者か?

人種差別は今回の事件に限らず、アメリカ社会が長年抱えている問題であり、黒人に対する警察の暴力もその一つだ。2014年には、ミズーリ州で18歳の黒人男性が白人警官に射殺された事件があり、再発防止に向けた警察の改革は必要である。

ただ、一連の人種差別を訴えるデモに紛れ、ANTIFA(アンティファ)といった自称・無政府主義者のネットワークも入り込んでいる。平和に人種差別の解消を訴えるデモ活動家と、暴力により市民生活をおびやかす団体への対応については、分けて考える必要がある。

2017年の大統領就任演説でトランプ氏はこう述べている。

「黒人だろうがヒスパニックだろうが、白人だろうが皆同じ赤い血液が流れていて、(中略)偉大なる創造主によって魂を吹き込まれたのです」

このような信仰のもと、人種差別を乗り越えて、アメリカが一つにまとまることを目指し、国民の生活・安全を守ろうとする、トランプ氏の本当の姿に目を向けたい。(嶋)

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