《本記事のポイント》
- ロックダウン日数と感染者には相関がない!?
- スペイン風邪でもロックダウンは効かなかった!?
- 失業率1%増で、自殺者2300人増!?
日本政府は、新型コロナウィルスの感染拡大阻止のため、緊急事態宣言を31日まで延期することを決めた。
政府の専門家会議は、感染者数は減少に転じつつあるが、再度の感染拡大を防止するため、テレワークや時差通勤など、緊急事態宣言下の体制を「新しい生活様式」として定着させることを推奨している。
東京都の小池百合子都知事は5日、事業者への休業要請を7日以降も継続させ、協力金を追加支給する考えを明らかにした。
アメリカ、イギリスをはじめとする感染拡大が著しい国では、依然、多くの都市でロックダウン(都市封鎖)を継続している。
こうした外出制限や都市封鎖は、国民生活に多大な犠牲を生む覚悟で実施される。しかし実際、「感染収束にさほど有効ではない」という見方がある。
ロックダウン日数と感染者には相関がない!?
米ニューヨーク州は3月22日にロックダウンを実施したにもかかわらず、1万人だった感染者数は1カ月後の4月21日に24万人まで急増した。
こうした現状を見て、4月28日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに、株式会社サイプレス・セミ・コンダクタ創業者兼CEOであるJ.S.ロジャーズ氏が寄稿。ロックダウンした日数と感染者数の減少には、ほとんど相関性がなかったことを指摘している。ロックダウンの日数よりも、人口密度や地下鉄の乗車率の方が感染拡大を左右するという見解を示した。
これは、経済活動を事実上停止させるよりも、人と人との距離を気にしながらでも、緩やかに動かすほうがいいことを示唆している。
スペイン風邪でもロックダウンは効かなかった!?
新型コロナとの比較対象として引き合いに出される「スペイン風邪」においても、ロックダウンは有効でなかったとする考え方が存在する。
約100年前に猛威を振るったスペイン風邪は、世界で5億人の感染者を出し、5000万人もの死者を出したと推計される。
当時の統計を分析すると、政府の閉鎖命令を「厳格に」適応した地域の患者発生率や死亡率は、そうでなかった地域と比べて特に低くもなく、それどころか、むしろ高かった例もしばしばあったとの分析もある。
ロックダウンをしないスウェーデンの対策とは
こうした教訓から、ロックダウンや外出規制をしない独自路線を続けているスウェーデンのような国も存在している。
同国は、国民の多くが新型コロナへの免疫を持てば感染収束に向かうとの考えのもと、「集団免疫」の獲得を目指している。そのため制限措置は緩やかにとどめて、経済活動を止めずにいる。スウェーデン経済は、新型コロナの影響を受けておらず、景気低迷の心配がないと言われている。
また前述したスペイン風邪も、「集団免疫」によって、普通のインフルエンザと同化し、鎮静化したと言われている。
つまり、中途半端なロックダウンや外出制限が、本当に感染対策になるのかは、検証の余地が大いにあるということだ。
ロックダウンによる経済損失は、多くの自殺者を出す
日本政府の緊急事態宣言や、諸外国のロックダウンが、感染抑制にどれだけ効くかは不明だ。一方、明確なのは、多くの倒産や失業を生み、別の面で人命を奪うこと。失業率と自殺者数には、強い相関関係がある。日本の場合、失業率が1%上昇すると約67万人の失業者が出て、約2300人が自殺で亡くなると予想されている。
「生命の安全」を謳って実施される政策が、かえって国民の生命を危機にさらしている可能性がある。新型コロナ対策は冷静で多角的な視点から考えていく必要がありそうだ。(竹内光風)
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