全長234メートルの福岡タワーからは、福岡市内の街並みや博多湾を一望できる。写真提供:ピクスタ

2020年6月号記事

地域シリーズ

福岡

なぜ福岡の魅力は
地方でダントツなのか?

「やっちゃるばい」精神が、人を惹きつける

今、福岡県に全国から熱い視線が集まっている。その魅力の秘密を探るべく、県内各地を訪れた。

(編集部 片岡眞有子)

起業率日本一の福岡市

人口が1万人ペースで増え、税収も右肩上がりの福岡市。
なぜ、それほどまでに発展しているのか。

少子高齢化で地方都市が苦境にあえぐ中、人口が増え、6年連続で過去最高の税収を更新する街がある。福岡市だ。

同市では毎年1万人ペースで人口が増え、人口に占める10~20代の若者の割合は全国に20ある政令指定都市で1位になるなど、注目が集まっている。

福岡市の法人税は他より安い

人口が増える背景には、ビジネスのしやすさがある。特に市が力を入れているのが、「起業支援」だ。

地域限定で規制緩和などを提案できる「国家戦略特区」の枠組みを活用し、福岡市は2017年より、創業5年以内で認定を受ける企業を対象に、市の法人税の免除を実施。国の税優遇と合わせると、法人税の実効税率を約30%から約22%にまで下げている。

減税に加え、国内外から優秀な人材を集めようと外国人起業家にはスタートアップビザを発行。こうした取り組みにより、福岡市の開業率は21の都市(政令指定都市と東京都区部)でトップとなっている(15年度時点)。

高層ビルの建設ラッシュで経済効果1兆円超

改革の恩恵を受けているのは、起業家だけではない。

福岡市の天神・博多エリアでは、ビルの高さや容積率の規制緩和によって大規模な再開発が進んでいる。市は、天神で30棟、博多で20棟の建て替えを目標に掲げる。一見控え目な数字に思えるが、ビルの高層化により、新しく東京ディズニーシーに匹敵する床面積が増える。その結果、雇用が7万人以上増え、年間の経済効果は1兆3500億円に上ると試算されている。

減税と規制緩和によるビジネスのしやすさが、人を呼び込む大きな魅力になっている。

高層ビルの規制緩和で
1兆3500億円 の経済効果

次ページからのポイント

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