《本記事のポイント》

  • 北朝鮮や中国は生物兵器の軍民両用の性質を利用して生物兵器を開発か
  • ローコストでかつ殺傷力の高い生物兵器
  • 生物兵器の脅威は過小評価されてきた

米トランプ政権は、コロナは武漢の実験室でつくられたとして、原因究明に本格的に乗り出した。

米FOXニュースは15日、複数の情報筋の話として、武漢の研究所の実験室で、職員がウィルスに感染し、その職員がパートナーにうつしたことがきっかけで感染が広がったと報じた。

「実験室」で何をしていたのか。アメリカは今後中国に情報提供をするよう、圧力をかけていくことになりそうだ。

なぜウィルスの致死率や感染率を上げる研究をしていたのか

その際、可能性として退けてはならないのは「生物兵器説」である。

この新型コロナウィルスは、コウモリ由来のSARSウィルスに改良を加え、感染力が高まるよう、人為的な操作が行われていた可能性が高い。

しかし致死性や感染力を高めるための研究は、万一漏れた場合の危険性も高く、批判も多かった。一方で、そのような強度なウィルスに対するワクチン開発のためという説明も成立する。このような「軍民両用」の性質を利用し、中国が生物兵器の開発に従事していた可能性は現時点で否定できない。

北朝鮮が持つ生物兵器の恐ろしさ

「軍民両用」の具体的なケースとして北朝鮮が挙げられる。

2015年に北朝鮮は、生物技術研究所と呼ばれる殺虫剤工場でポーズする金正恩氏の写真を公開してもいる。

この写真に写る巨大な微生物培養槽や噴霧乾燥機を分析したメリッサ・ハナム氏は、2019年1月の米ニューヨークタイムズ紙記事(North Korea's Less-Known Military Threat: Biological Weapons)で、「一見無害な農薬工場だが、数週間以内に炭疽菌の生産に転用し得る施設の建設に成功したということだ」と述べている。

しかも2017年12月にはソウルの情報筋が、「生物兵器の炭疽菌を大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載する実験も行った可能性もある」と明かしている。

ローコストで殺傷力の高いものを秘密裡につくれる

核兵器などの開発施設は、外部からも判別しやすい。しかし、生物兵器のための技術は、人々の健康や害虫駆除のための技術と同じなので「一見無害に見える」。生物兵器をつくっている施設とは判別しにくい。

しかも病原体の生産は、核兵器をつくるよりも、小規模でかつ格段に低価格で済む。人を一人殺傷する費用を比較すると、核兵器は20万円、化学兵器は2万円であるのに対し、生物兵器は100円とローコストだ(日本安全保障学会・危機管理学会編『究極の危機管理』より)。

それでいて殺傷力も高い。1ガロン(約3.8リットル)の炭疽菌が散布された場合、人類を絶滅させることができるのだ。

つまり安価で秘密裡に開発製造でき、かつ殺傷力が高い兵器が「生物兵器」である。

脅威は過小評価されてきた

だが、生物兵器の脅威について訴えてきた人々は一部の専門家を除くと極めて少ない。

ビル・ゲイツ氏は2015年の「TED Talk」の講演で、「もし1千万人以上の人が次の数十年で亡くなるようなことがあるとすれば、それは戦争というよりはむしろ感染性の高いウィルスが原因の可能性がある」と訴えた。だが、残念なことにその提言は、正しく受け止められてきたとは言えなかった。

人類は生物兵器を抑止するための仕組みづくりを

生物兵器に対する脅威認識の低さは、査察の仕組みにも表れている。

生物兵器工場であると確認するには、抜き打ちで施設の中に入り「立入検査」をするしかない。だが化学兵器と異なり、査察を執行する機関さえ存在しない。

アメリカは、新型コロナウィルスが武漢の実験室から漏れた可能性が高いとみて調査に入っている。中国が否定を続けるなら、研究施設の立入検査も要求すべきだろう。

武漢発のウィルスが世界を覆う中、中国や北朝鮮が殺傷能力の高い生物兵器を複数の場所で研究している事実を見逃してはならない。

生物兵器は「21世紀の大量破壊兵器」と言われる。その認識をもって、先進国は大量破壊兵器を廃絶するための管理体制づくりを急ぐべきである。

(長華子)

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『中国発・新型コロナウィルス感染 霊査』

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大川隆法著 幸福の科学出版

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