写真提供:ピクスタ
2020年3月号記事
地域シリーズ
静岡
拝啓、川勝知事
2027年 リニア×新幹線で
静岡はもっと豊かになる
静岡県の反対により、2027年の開業に黄信号がともり始めた「リニア中央新幹線」。
工事反対の理由やリニアがもたらす静岡への恩恵を探った。
(編集部 駒井春香)
南アルプスを源流とする大井川は『命の水』。JR東海は社長が約束した、トンネル工事に伴う湧水の全量を戻すことを守る責務がある」
川勝平太・静岡県知事は昨年9月、定例会でリニア中央新幹線の静岡工区についてこう述べた。
東京・名古屋・大阪の三大都市を結ぶリニアは、2027年の東京-名古屋間の開業を目指して、5年前から工事を進めている。日本列島の真ん中、山岳地帯の南アルプスをトンネルで貫く大工事だ。静岡県は県北部の8.9キロメートルが工区だが、県中部を流れる大井川の源流と重なることから、工事の影響を懸念して、川勝知事を筆頭に反対の声が噴出。着工が遅れている。
対立するJR東海と静岡県
川勝知事と大井川流域10市町の首長は、大井川の水は発電や農業、上水道などに使われる「命の水」として、水量確保や環境への影響などを不安視。JR東海は調査の結果、「トンネル湧水が県外に流出しても、工事中を含め河川流量は減少しない」と判断しているが、県側は納得せず、47項目からなる「引き続き対話を要する事項」を送付。JR東海は回答書を提出したが、44項目が「専門家の質問に答える内容ではない」と受け付けられず、問題は長期化している(1月17日時点)。
この頑なな姿勢に、愛知県知事や三重県知事が川勝知事に苦言を呈するなど、県内外から批判が噴出。田辺信宏静岡市長も、工事が行われる大井川上流の、静岡市内の道路使用を昨年6月に許可。静岡市はJR東海側に立つ形となり、複雑化している。
しかしリニアは東京-名古屋間を約40分で結ぶ。距離、速度、輸送量ともに世界一で、日本全体の発展に寄与することは間違いない。果たしてリニア開業は善か悪か。識者の意見や現地レポートをもとに伝える。
川勝知事ら静岡県の主張
- 大井川の水は発電、農業用水、工業用水、上水道に使われ、流域の人々の生活を支える「命の水」である。
- 工事による減水や、環境への悪影響が懸念される。この問題を解決できなければ工事は許容できない。
JR東海への主な要望
- トンネル工事に伴う湧水の全量を一滴も残らず大井川に戻す。
- 大井川流域の環境を守る。
JR東海の主な説明
- 調査の結果、トンネル湧水が県外に流出しても工事中を含め河川流量は減少しないと予測している。
- 工事で生じたトンネル内の湧水を大井川へ流す導水路トンネルを設置する。
- 環境保全措置を実施し、水資源への影響を抑えながら工事を行う。
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