《本記事のポイント》
- 「暗号」がブロックチェーンの鍵
- 中国が初めて、デジタル通貨を発行する!?
- デジタル化を進める目的とは
「最近ネットで、中国の『暗号法』が危ない、という記事をよく見かけます。いったい、どういうことなのでしょうか?」(東京都・40代女性・H.Aさんより)
このような趣旨のお問い合わせが編集部に寄せられました。本欄では、この疑問になるべく分かりやすく答えてみたいと思います。
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本欄では、ニュースや日常生活で見聞きしたギモンに、随時お答えしていきたいと思います。年齢・性別・お住まいの都道府県・ペンネームを合わせてお送りください。
「暗号法」とは、中国で2019年10月に成立し、2020年1月1日から施行された、中国の国内法です。同法には、中国共産党が指揮を執ることが明記されたほどで、中国にとって、データの機密性を守るための暗号がいかに大切な技術かが伺えます。
暗号は、国家の極秘情報を守る「核心暗号」、機密情報を保護する「一般暗号」、国家機密と関わりのない情報を保護する「商用暗号」の3つに分類され、「核心」と「一般」は、政府が管理します。
政府や一般企業が構築する、国民の生活に関わる暗号は、商用にあたります。政府が直接に暗号を管理するわけではありませんが、中国の企業は全て、政府の息がかかっています。そのため、政府の管理下に置かれるリスクは否定できません。
ちなみに、中国ではモバイル決済が爆発的に広がっていますが、すべてのキャッシュレス決済が、中央銀行である中国人民銀行を介する仕組みになっています。そのため、政府に情報は筒抜けです。
日本でもモバイル決済が増えていますが、中国企業と業務提携をしているものもあります。モバイル決済を使う場合は、使用履歴が中国企業に共有されていることを自覚する必要があるでしょう。
デジタル通貨に注目が集まる
それでは、「暗号法」はなぜ成立・施行したのでしょうか。その背景には、中国が2020年にも発行すると言われている「デジタル人民元」の存在があります。
例えばデジタル人民元は、仮想通貨に使われているブロックチェーンの技術を用いると言われています。実際に習近平国家主席は19年10月、ブロックチェーン産業を育成する方針を表明。このブロックチェーンで鍵になる技術が、「暗号」です。
フェイスブック社が発行しようとしていた仮想通貨「リブラ」とは異なり、デジタル人民元は、人民元と連動させて、価格を安定させる仕組みと言われています。
デジタル人民元が発行されれば、中国は主要国で初めて、デジタル通貨を発行した国となります。そのため、こうした中国の動きは、世界から注目を集めています。
デジタル通貨の利点の一つは、従来の現金よりも送金がしやすいことです。そのため現状では、基軸通貨となっている米ドルで取り引きしていますが、国際取引ではより便利なデジタル人民元を使う人も出始めるでしょう。
デジタル人民元に対して、麻生太郎財務大臣は警戒感を示しており、6日に全国銀行協会の賀詞交歓会であいさつした際には、「国際決済に使われることを頭に入れておかないといけない」と述べています。
デジタルは監視に便利
中国では、デジタル人民元に先んじて、電子マネーの利用が進んでいます。QRコードを使ったモバイル決済の利用者は19年8月時点で44%と言われています。
ただ、ここで注意しなければいけないのが、デジタル化を進めている中国政府の思惑です。
大川隆法・幸福の科学総裁は2019年9月、習近平国家主席の娘である習明沢氏の守護霊霊言を収録。習明沢氏の守護霊は、中国で電子マネーの導入を進める理由をこう明かしていました。
「 電子マネーになれば、要するに、最終的に、全国民の財布の紐を握れるので、国家が指名手配した者の電子決済をできないようにしてしまえば、一発で"干上がる"んです。一日で"干物"にできちゃうんです、この人を。(中略)だから、暴力を使わないで、人を完全に管理できる可能性があるんですよ 」(『習近平の娘・習明沢の守護霊霊言』所収)
つまり中国は、デジタル化を進めることで、監視体制を強化しようとしています。
現金は「匿名性」が担保される部分がありますたが、電子マネーの場合は、お金の流れが全て記録されます。デジタル人民元のように、政府が発行するデジタル通貨ならなおさらです。
1月から施行された「暗号法」の背景には、こうした中国の思惑があります。デジタル人民元を使う日本人は少数かもしれませんが、自衛の策として、知っておくべきでしょう。
(飯田知世)
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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