《本記事のポイント》

  • 中国の総債務は7800兆円!?
  • 中国の債務は「1京」円!?
  • 中国の総債務はGDPの6倍!?

中国は11日、「独身の日」を迎え、ネット通販最大手のアリババは過去最高売上を記録した……と日本のメディアはこぞって報じた。

このニュースは、同国の消費がいまだ旺盛であることを世界にアピールするための、中国共産党の"策略"だ。メディアはまんまと踊らされている感がある。

実際の中国経済はどうか。米中貿易戦争の影響で、すっかり冷え込んでいることは周知の通り。しかしそれ以上に深刻なのが、背後に横たわる巨額の借金である。

中国の総債務は7800兆円!?

米政府が中心となって運営するニュースサイト「博訊」に5日、北京在住の評論家・蔡慎坤氏による論文「誰に中国の借金を返済する能力があるか?」が掲載された。その内容が刮目に値するため、概要を咀嚼しながら紹介したい。

最も衝撃的な部分をかいつまむと、要するに「中国の総債務は約7800兆円もある」ということなのだ。

10年ほど前、中国の財布事情は世界でも最も健全な部類だった。2012年、中国の中央政府は1.12兆元(約17.5兆円)の黒字だった。胡錦濤主席―温家宝首相コンビは政権末期だったので、財政出動を控えたのである。

だが、習近平政権誕生と同時に、財政は赤字に転じる。その額も一気に拡大する。2015年までに2兆元(約31.2兆円)を超え、2018年には4兆元(約62.4兆円)を突破した。

地方政府も不動産開発などにいそしみ、2016年に地方債の発行を開始した。その額は、毎年4兆元(約62.4兆円)以上にのぼる。

こうして累積し続けた中国の借金。中央政府・地方政府・国有企業・個人をあわせた総債務は、すでに500兆元(約7800兆円)に達した。

中国の債務は「1京」円!?

それは、米国の3倍以上であり、オーストラリア、米国、ドイツ3国の債務合計よりも多い。わずか10年で中国は、最少負債国から最大負債国へと転落したのだ。

債務の額をさらに大きく見積もる人もいる。

CICCインターナショナル董事長を退任した朱雲来氏は、「2017年末の中国の債務規模は600兆元(約9360兆円)に達する。2019年には860兆元(約1京3416兆円)に達する」と喝破している。

その額は毎年、国内総生産(GDP)の伸びをはるかに上回る、年20%以上のスピードで増加する。年利をGDP成長率と同じ6%とすれば、毎年の利息だけで40兆元(約624兆円)から50兆元(約780兆円)以上に達する。GDPの半分以上だ。

以上が概略である。

中国の総債務はGDPの6倍!?

中国の総債務が、蔡慎坤氏が主張するように500兆元(約7800兆円)だとしよう。中国のGDPが、当局が発表しているとおり90.03兆元(約1404.5兆円)ならば、総債務はその555%となる。とはいえ当局の統計は過大評価されていると言われている。もしGDPが80兆元(約1248兆円)しかなかったと仮定すれば、総債務はその625%ということになる。

拓殖大学海外事情研究所

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011年4月~2014年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界新書)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

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