《本記事のポイント》

  • アメリカは2020年末~21年に、日本にミサイルを配備する計画を進める
  • 安倍政権が交渉してきた日露平和条約の締結に暗雲が漂っている
  • 日本は、ロシアとの軍事協力を視野に入れた大胆な行動が必要

中距離核戦力(INF)全廃条約が失効したことを受け、アメリカが2020年末~21年にかけて、沖縄や北海道を含む本土への中距離ミサイルの配備を目指し、日本側と協議することが分かった。すでにその意向がロシア側にも伝えられ、日露平和条約の交渉にも影響を与える見込みであることを、琉球新報が3日、ロシア政府関係者の話として報じた。

記事によると、新しいミサイルの配備先は、日本、オーストラリア、フィリピン、ベトナムの4カ国が候補。アメリカは、尖閣諸島や南沙諸島の問題をめぐり、中国との限定的な軍事衝突が2~3年以内に起きることを想定し、米軍基地の増強を重視している。これに対しロシアは、ミサイルが日本に配備されれば、極東地域が射程に入るため、日露平和条約の交渉が白紙になる可能性を指摘したという。

日露平和条約の締結に暗雲が漂う

本誌でも繰り返し伝えてきた中距離ミサイルの配備計画が、水面下で進められていることが判明した。日本としては、中国に対する抑止力が大幅に強化されるため、歓迎したい。

一方で気になるポイントは、日露平和条約の締結が困難になることだ。

安倍政権は条約締結の機会をうかがってきたが、プーチン露大統領が何度か指摘しているように、それに向けたスピード感が完全に失われている。恐らく、日本から大胆な譲歩がなかったためであろう。そうした中で、ミサイルの配備計画が現実化したことで、締結は厳しい情勢になっていることが明らかとなった。

日本はロシアとの軍事協力を

こうした状況のなかでは、日本が「北方領土問題の棚上げ」など相当な譲歩を示さなければ、ロシアとしては締結が難しいだろう。だが、憲法9条の改正に踏み切れない安倍政権に、それを期待することは難しいのではないか。

日本は中距離ミサイルの配備を進めつつも、ロシアとの軍事協力に向けて動き、「ロシアとは敵対しない」という関係を最低限つくる必要がある。その後、対中包囲網を念頭に置いた、日米露の三国関係の構築に力を入れ、「アメリカのミサイルは、ロシアの脅威ではない」という次元に持っていきたいところだ。そうした大胆な行動が、条約締結に向けての気運を再び高めることにつながるだろう。

(山本慧)

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