写真はイメージ。

最近、中国の山東大学に存在する怪しげな制度が、ネット上で暴露された。

それは、「学友」制度と呼ばれており、男子留学生1人に対し、中国人女子学生3人を「学友」として"アテンド"させるというものだ。

もちろん、留学生は語学の壁もあって、中国で友人をつくるのは容易ではない。そこで大学が留学生のために「学友」を振り分けるというのは、大学側の配慮として理解できる。

「女友達」をつける制度

しかし、なぜ男子留学生1人に対し、3人もの中国人女子大生を「学友」としてつけなければならないのか。それも、「女子留学生に対し中国人男性3人をつける」という逆パターンの話は聞かない。

この制度、「学友」といえば聞こえは良いが、本来の目的はご想像の通り、「男子留学生に3人の"女友達"をつける」制度なのだ。

「学友」として大学側から選抜された女子大生は、比較的スタイルが良く、裕福でない家庭の出身者が多いという。大学側が貧しい彼女たちに奨学金などを与え、留学生の「学友」になってもらうのだろうか。

当然、この制度下では、男子留学生と中国人女子大生が容易に仲良くなる。飲み会などで親しくなり、2、3カ月後に、複数の女子大生が妊娠し、堕胎したと報告されている。

華人系マスコミが現代の「慰安婦」制度と非難

一部の華人系マスメディアは、これを現代の「慰安婦」制度と厳しく非難している。そのため7月12日、山東大学は「学友」制度実施を謝罪した(ちなみに、南京大学、中山大学、ハルピン工業大学なども、同じ制度を採っていた)。

山東大学は、中国(当時は清国)で2番目に創立された名門大学の一つである。若干データが古いが、2012年の「中国大学ランキング」(山東省高等教育評估所版)では、第11位にランクインしている。

なぜ名門大学が、このような制度を採用したのだろうか。無論、山東大学といえども、中国共産党の管理下にある。何らかの国策の延長線上にある可能性は高い。

中東系やアフリカ系の男子留学生を狙い撃ち

この「学友」制度の対象となる留学生だが、主に中東系やアフリカ系の男子留学生に限られているという。中東やアフリカといえば、中国共産党が描く「一帯一路」構想において、鍵を握る地域に他ならない。習近平政権は、中東・アフリカからの留学生をできるだけ多く採用するようにしており、彼らのために「シルクロード奨学金」といったものも設けている。

中国共産党は「一帯一路」構想を実り多きものにするため、中東系やアフリカ系の男子学生を懐柔しようとしている。そのために、女子大生を利用したのではないだろうか。あるいは、女子大生に男子留学生の子供を産ませ、世界中に中華系の血統を増やすという、遠大な目標を抱いているのだろうか。

いずれにせよ、中国共産党は覇権拡大のためにはあらゆる手を使うのだと、改めて驚かされる。

拓殖大学海外事情研究所

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011年4月~2014年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界新書)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

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