東日本大震災に伴う福島第一原発の放射能漏洩は、電源の復旧でほぼ終息に向かっている。放射能拡大阻止に決死の覚悟で臨んだ“英雄”たちについては、各メディアが取り上げている通りだ。今回の地震で、自己犠牲の精神を発揮した名もなき人たちの話を拾ってみた。

・  宮城県女川町で、中国人研修生の女性20人を高台に避難させた水産会社の日本人の専務が再び宿舎に戻った際に津波にのまれ、行方不明になった。また、この会社の社長は自分の自宅が流され身内が行方不明になる中で、友人宅を駆け回り、研修生たちの宿泊場所を確保した。女川町では研修生が約100人いたが、犠牲者はいなかった。

・  宮城県南三陸町の町職員(危機管理課)の女性(25歳)は津波が迫る中、防災無線放送で住民に避難を呼びかけ続け、行方不明となった。この女性の母親は「6メートル強の波があります。早く逃げてください」という娘の声を放送で聞きながら高台に避難し助かった(3月13日付毎日新聞)。

・  原発への上空からの散水任務を指揮した陸上自衛隊幹部の発言「彼らは『行け』と言われたら確実に任務を遂行する。1日だけ家族に相談する時間を与えられたが誰一人断る者はいなかった」(3月18日付日経新聞)

・  岩手県釜石市の小中学校全14校の児童生徒の避難率は100%。地震発生時、下校直前で、児童・生徒らは警報と同時に避難を開始し、近くの高台に移動。しかし、押し寄せる津波の勢いを見て、さらに上の高台に避難した。この間、怖がる小学生を中学生が誘導し、全員が無事だった(ただ、学校を欠席した児童・生徒は安否不明。3月16日付産経新聞)。

・  米海軍第7艦隊の駆逐艦「マスティン」は宮城、福島の沿岸部で救援活動を開始したが、被害は想定以上。艦に積み込んだ救援物資では足りず、乗組員から寄付を募ると、乗組員たちはロッカーから衣類、下着、靴下、タオル、毛布を取り出し提供した(3月18日付産経新聞)

・  アフガニスタン戦争でイスラム主義反政府勢力タリバンとの内戦が最も激しく展開されるカンダハル州のグラム・ハイダル・ハミディ市長が大震災の被災者に義援金5万ドル(約400万円)を送ることを明らかにした。日本がアフガン復興を支援してきたことへの恩返しだという。アフガニスタンは1日2ドル(約160円)の生活水準が平均的。(織)

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