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イランとアメリカの対立が、日に日に強まっている。
イラン沖のホルムズ海峡近くで13日、日本の海運会社「国華産業」などが運航するタンカー2隻が砲撃を受けた。イラン政府は関与を否定しているが、アメリカ政府は、イランの革命防衛隊が不発だった機雷を取り外す様子をとらえた、とする映像を公開。トランプ米大統領は「間違いなくイランが行った」と指摘した。
さらに、タンカー攻撃の数時間前、タンカー周辺を飛行していたアメリカの無人機にイランの艦艇が地対空ミサイルを発射していたとも報じられた。ミサイルは命中せずに海に落下したという。
タンカー攻撃のタイミングは、アメリカとの橋渡しをすべく、イランを訪問していた安倍晋三首相が最高指導者のハメネイ師と会談している最中だった。首相は前日に、ロウハニ大統領とも会談している。
ハメネイ師は安倍首相に対し、「核兵器を製造も所有も使用もしない。その意図はない、すべきではない」と述べた。だが、会談後の声明では、「トランプ大統領は意思を伝達するに値する相手ではない」と、アメリカとの対話を拒む姿勢を示した。
安倍首相は、アメリカの使い!?
中東情勢が混迷を極める中、大川隆法・幸福の科学総裁は13日、ロウハニ大統領とハメネイ師の守護霊を呼び出し、意見を聞いた。
はじめに、ロウハニ氏の守護霊は安倍首相の訪問について、「 来てくれたのは、ありがたいですが、基本的にトランプさんの使いですからね 」と指摘。日本のタンカーへの砲撃については、「 我々の意図でやっているわけではない 」と言いつつも、「アメリカの代弁者」としてイランを訪れた安倍首相を歓迎しないグループが国内にいることについて、否定しなかった。
また、ロウハニ氏の守護霊は、アメリカに強く反発。いきなりイラン近海に第五艦隊を送り、攻撃姿勢を示すトランプ氏は信用できないばかりか、常軌を逸していると指摘した。
「日本は、宗教仲裁まで入らないと駄目」
トランプ氏の考えは、「ユダヤ人国家のイスラエルを守り、中東での核戦争を防ぐために、イランの核開発を止めたい」というものだ。
トランプ政権は昨年5月に、6カ国で結んだイラン核合意から離脱。今年5月上旬にはイランへの経済制裁を強化し、日本や欧州などのイラン産原油の購入を全面的に禁じていた。
アメリカがイスラエルに核開発を許しながら、他のイスラム諸国には核開発をさせないことについて、ロウハニ氏の守護霊は強い不満を示した。
「(第五艦隊を派遣するということは) 我々も北朝鮮扱いされているということです 〈中略〉 我々から見れば、北朝鮮扱いされるべきはイスラエルですよ。なくてもいい国を、欧米、特に英米仏の協力で、ドイツ憎しのあまりつくったけれど、アメリカには砂漠がいっぱいあるのだから、あっちにつくればいい。中東につくられたら、喧嘩になるに決まっている。彼ら (イスラエルの人々) を抹殺したいとまでは言わない。いてもいいですけど、新参者なのだから礼儀を守って、おとなしくやれということです 」
また、ロウハニ氏の守護霊は、アメリカ大統領が根底においてはイスラム教を悪魔の宗教だと思っていると指摘し、「 日本としては、宗教仲裁まで入らないと駄目だと思う。戦争か、あるいは経済的な制裁か、みたいな話だけでは駄目。 〈中略〉 本当は日本人には宗教性があります。だから、強い日本、宗教心のある日本を信じたい 」と続けた。
今の中東の混乱の根底には、「ユダヤ教・キリスト教vs.イスラム教」という世界宗教間の対立がある。ロウハニ氏の守護霊が指摘する通り、イスラム教国は悪魔の国ではない。イスラエルだけが欧米の支援で核武装を許されているというのは、バランスを欠いている面はあるだろう。
「救世主が降りるなら、日本しかない」
続いて大川総裁は、ハメネイ師の守護霊を呼び出した。ハメネイ師の守護霊は、中東の盟主イランが、欧米・イスラエルの植民地に変えられてしまうことへの危機感を露わにした。
「 彼らが核兵器を持って、エジプトからサウジアラビア、イランまで、全部射程に収めて、いつでも滅ぼせるという体制をつくった時に、我々はどうするかということです。『祭政一致の宗教を倒すには、国ごと潰せ』という考えだった場合、油田はたくさんあるので、攻撃ターゲットはかなりあり、全部燃え上がらせてしまうことができます。 〈中略〉 中東の安全を護らなければならない 」
また、ハメネイ師の守護霊は、中東で「世界最終戦争」が起こりうる可能性について言及。その時に、神や救世主が降りてくることはありえると指摘した。そして、安倍首相の力は限られすぎていて、もっと高い宗教性がなければイランとの仲裁はできないと語りつつ、その一方で、日本に対する期待も示した。
「 日本しかないと思いますよ。今、世界をまとめられるのは日本しかない。 〈中略〉 私たちは全世界のことまで、目を配れない。トランプ氏にはその力があるのだとは思うけれど、我々みたいな歴史のある国から見れば、極めてお下品である。西部のガンマンが、大統領をしているようにしか見えない。保安官にしか見えないんですよ。 〈中略〉 まだまだ、宗教性足りないね 」
今後、日本は、中東での最終戦争を防ぐため、宗教的な仲裁まで踏み込んでいかなければならない。
イランなどのイスラム教国には、自由や民主主義の価値観が浸透していないという課題もある。法整備は不十分で、人権も軽視される傾向があり、経済的な発展も遅れている。
これから日本に求められる役割とは、日本が本来持つ宗教性を取り戻し、イランを中心とする中東諸国に、自由と民主主義の価値観の大切さを伝えつつ、信仰を中心とした近代的な国づくりを手伝うことだと言える。
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