日本での原発事故を受けて、ドイツのメルケル首相は15日、1980年までに建設された旧型の7基の原子力発電所の稼動を一時停止すると発表した。

欧州連合(EU)は同日、緊急会合を開き、原発の安全基準の見直しを含む対応策の検討に入った。

一方で、16日付けのニューヨーク・タイムズ紙では、安全性の確認が必要だとしても、中国およびインドでは原発を大幅に増やす計画に変更はないと報じている。

インドの原子力エネルギー委員会委員長のSrikumar Banerjee氏は、12億の国民の40パーセントは電力がない生活を送っているため、原子力発電所は不可欠と語った。インドでは、すでに稼動する20基の原子力発電所に加えて、1500億ドルを投じて数十の原子炉を建設し、2050年までにエネルギーの4分の1を原子力発電で担う予定だ。これは現在の10倍の量である。

また中国ではすでに11基の原子力発電所が稼動しているが、次の10年で毎年10基ずつ建設する。同国の電力消費量が毎年12パーセントずつ上昇しているためであるという。

オバマ大統領は「原子力は米国の電力需要の2割を担い引き続き重要」と声明を出した。

だが、原子力を危険視する声が高まるのは避けられないだろう。

その声はとくに日本で高まってくる兆しがある。たとえば日本の新聞(読売)は、「米、原発推進ブレーキ」という見出しで原発事故を報じていた。

一方、米ニューヨーク・タイムズ紙では、「日本の原発の危機で、原子力に対する各国の需要が減ることはない」という見出しで、冷静に全世界各国のエネルギー需要の現状を表現している。

マスメディアは、いたずらに不安をあおるのではなく、「将来、原子力を持たずにエネルギー需要を満たせるかどうか」という課題にまず答えなければならない。今後の報道の努力が、いかに原子力発電の耐震性を上げるかに注がれることを望みたい。(HC)

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