本日も米紙から、日本のメディアではあまり見ない切り口の震災報道を紹介する。14日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューンに出ている「自然が人間の努力をくじく時」(When nature foils human efforts)と題する記事の要約抜粋。
・日本は過去の被災経験とハイテクを生かし、地震や津波に十分備えていた国だ。さもなくば、近年の中国やハイチの地震のように死者はもっと増えていただろう。だが今回の災害は、最善の備えも自然の猛威の前には限界があることを示した。コロンビア大学の国立災害対策センターのレドルナー理事は言う。「テクノロジーにできるのは、地域社会やインフラへの被害を最小限にすることだけ。完璧な対策など不可能だ」
・鉄やコンクリートで自然の猛威を防ぐには限界がある。ゆえに、各人が日頃から災害に備える(preparedness)という「心のインフラ(mental infrastructure)」が重要だ。ハリケーン被害などに対処するFEMA(連邦緊急事態管理庁)のFugate局長は、大震災が起きた11日の記者会見でこう話した。「今回の災害から学べるのは、地震は来る前に予告してくれないということ。だからこそ、常に油断なく準備しておくこと(being prepared)が決定的に重要なのだ」
ボーイスカウトはイギリス生まれの組織だが、スカウトの最大のモットーも「備えよ常に(Be prepared)」だ。物質文明の象徴の国アメリカが日本の災害から「心の準備」という精神面の重要性を学び直している点に、アングロサクソン的危機管理のしたたかさが垣間見える。日本も改めて、物心両面の備えを強化せねばならない。(司)
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