2019年1月号記事

うつ、非行、虐待、自殺……

孤独に寄り添うプロフェッショナル

いつの時代にも、自分を顧みず、人のために尽くす人がいる。

彼らはなぜ、いばらの道に見える人生を歩むのだろうか。

(編集部 山本慧、山本泉、片岡眞有子)


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世界では今、「心の病」に苦しむ人が増え、国際問題化している。日本国内の統計をみても、その一端がうかがえる。

うつなどの「気分障害」で医療機関を受診する総患者数は、111万6千人(2014年度)、15年間で2.5倍になった。全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は、12万2578件(16年度)。小・中学校の不登校児童生徒数は、14万4031人で過去最多となった(17年度)。

いずれも増加傾向にある心の病は、私たちの周りに潜む身近な問題だ。

孤独を救う「無名の菩薩」

若者は、SNSの友達がいても、本音で語り合える真の友達が少ないことに悩む。スマホ漬けによってコミュニケーションに苦手意識を持ち、人付き合いがうまくいかず、社会からドロップアウトするケースも後を絶たない。

職場の人間関係や家族の絆も希薄化し、高齢者世代では孤独死が社会問題化している。

自分の殻にこもる人が増える中、孤独な人々に手を差し伸べ、救い出そうとしている人たちがいる。

NHKが昨年ドキュメンタリー番組で取り上げ、視聴者から大反響を呼んだ元保護司の中本忠子さん。SNSで5千人以上の若者の相談に応じる岡田沙織さん。天皇陛下から功労を認められた更生保護施設を運営する工藤良さん。障害者支援から政治家に活躍の場を広げた栃木県下野市議の石川信夫さん。

彼らは、うつや非行、不登校、自傷、障害などに悩む人々の心に寄り添うプロフェッショナル。まさに、現代に生きる「無名の菩薩」と呼んでいいかもしれない。

本特集では、そんな4人の生き様に迫り、生きづらくなった世の中で「人が大事にすべき価値観とは何か」を探りたい。

Part2に続く