2018年7月号記事
人手不足ニッポン
「親日外国人」を育て戦力化する
日本企業を襲う人手不足。人口減少を背景にする労働者の不足により、廃業に追い込まれる中小企業も増えてきた。
だがその一方で、助っ人外国人が即戦力以上の活躍を見せている。
(編集部 山本慧、馬場光太郎)
contents
Interview 先進国で日本だけが移民政策をとっていない / 人手不足ニッポン「親日外国人」を育て戦力化する Part.3
Interview
先進国で日本だけが移民政策をとっていない
移民賛成派の専門家に、移民反対論をどう見ているか、聞いてみた。
日本国際交流センター
執行理事
毛受敏浩
(めんじゅ・としひろ) 1954年、徳島県生まれ。慶應義塾大学卒。米エバーグリーン州立大学大学院修了。兵庫県庁に勤務後、88年より勤務。著書に、『限界国家』(朝日新書)、『人口激減』(新潮新書)などがある。
反対論1
そもそも、移民政策は必要ないのでは。
A : 国立社会保障・人口問題研究所によると、日本全体で2037年までに、東京都の人口に匹敵する1300万人の人口が減少すると推計されています。しかも、高齢者が増え、若者が減り続けながら総人口が減り、「日本のゴーストタウン列島化」が加速化するのです。
人口減少が続く限り、人手不足は常態化し、歪な形で外国人定住者は増えます。そうであれば、正面から日本に望ましい人材を選択的に受け入れた方がいい。それが私の考えです。
日本以外の先進国は、移民政策をとっています。自国民の出生率を上げるだけでは、人口を増やすことができないためです。
政府は人手不足の解消として、外国人技能実習生の受け入れを拡大していますが、一部の制度は、国際機関から「人身売買」「奴隷制度」などと批判を受け、外国人の人権問題が起きるなど、問題点も多いです。
反対論2
人口が減っても、経済成長を望まなければ、普通に生活できるはず。
A : そこには、「今享受している様々なサービスが一定程度残る」という前提があります。しかし毎年、学校が約500校なくなり、バスの路線も約2000キロ減るなど、サービス自体が消えています。その深刻さをあまり考えていないのではないでしょうか。
さらに政府は、1000兆円を超える借金まで抱えています。借金を返すには、経済成長し続けないといけない。社会保障を維持するためにも、稼ぐ人を増やさないといけないのです。
Interview 先進国で日本だけが移民政策をとっていない / 毛受敏浩氏
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