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《本記事のポイント》

  • 平昌五輪が閉幕したが、北朝鮮の核開発問題に改善は見られない
  • 北朝鮮は「核・ミサイル開発」と「金体制の維持」を諦めない
  • 「対話による解決」という幻想から覚め、北朝鮮問題を解決する現実的な手段を

平昌オリンピックが25日、閉幕した。3月8日からパラリンピックが始まり、同月18日をもって、平昌オリンピック・パラリンピックが終了する。

韓国の文在寅大統領は、北朝鮮の五輪参加を契機に南北間に信頼関係を醸成し、その信頼関係を米朝対話へと拡大させ、最終的には核問題解決につなげて「好循環をつくる」という青写真を描いていた。

実際に、朝鮮労働党委員長・金正恩氏の妹、金与正氏ら北朝鮮代表団が訪韓すると、韓国政府は4回に及ぶ会食でもてなし、文大統領と与正氏がそろってアイスホッケー南北合同チームの試合を観戦するなど、両国の親交関係を世界にアピールした。

また、25日には、対韓強硬派とされる金英哲朝鮮労働党副委員長が率いる代表団が訪韓し、閉会式に出席。27日まで滞在し、文大統領や徐薫・国家情報院長とも会談する見通しだ。

あからさまな政治的意図から、韓国国内からも「平昌五輪ではなく平壌五輪だ」と批判の声が上がったが、「平和の祭典」への北朝鮮の参加によって、北朝鮮の核開発問題は解決に近付いたのだろうか。

「核・ミサイル開発」と「金体制の維持」を諦めない

結果的に、韓国は北朝鮮との「平和的な雰囲気の維持」を優先させ、核問題をめぐって北朝鮮に圧力を加えることはできなかった。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は23日、五輪閉会に先立ち、核・ミサイル開発を継続する旨の論説を出した。

論説には、「我が軍隊はその威力と信頼性が保証された核弾頭と弾道ミサイルを実戦配備する事業に拍車を掛けている」「わが国に核放棄を望むのは、海水が干上がるのを待つより愚かな行為だ」と書かれている。

さらに、マイク・ペンス米副大統領が22日に、金正恩氏や与正氏などの金一族について「2500万人の国民を支配し、飢えさせ、投獄している邪悪な一族」と発言したことに対して、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は24日、トランプ政権とペンス氏を批判する次のような声明を発表した。

「われわれの最高尊厳と体制を冒涜する者は誰であれ、どこに居ようと探し出して無慈悲に懲罰する」「我々は米国との対話を哀願しない。米国は愚かな悪態の代価を支払う」

こうした主張から、たとえ南北融和が進んでも、北朝鮮には核・ミサイル開発を止める考えはなく、また、金体制を変える意思もないということが分かる。北朝鮮にとって、「核・ミサイル開発」と「金体制の維持」が国家戦略の最優先事項であることに変わりはない。

南北関係は終始、北朝鮮の都合で動いており、「平和の祭典」が北朝鮮問題の解決につながらなかったことは明らかだ。

「対話で解決」という幻想から覚めるべき

一方、アメリカのトランプ大統領は23日、北朝鮮の核・ミサイル開発を支援しているとして北朝鮮や中国など9カ国・地域に関係する海運会社などを対象とする米独自の制裁を発表。トランプ氏は「これまでで最大の新たな制裁だ」と強調し、「もし制裁の効果がなければ第2段階に移る」と、次は軍事行動も辞さない、という強い姿勢を示し、北朝鮮をけん制した。

こうしたトランプ氏の主張について、一部のメディアは、韓国が北朝鮮との対話を進めようとする中、韓国の同盟国であるアメリカが足並みを乱していると批判している。

しかし、韓国がいくら北との対話に時間と労力を費やしても、北朝鮮が核・ミサイルを放棄する方向には交渉が進まず、北朝鮮の軍事的な脅威が世界から取り除かれることはない。また、金一族の独裁体制に苦しむ2500万人以上の北朝鮮の国民が解放されることもない。

今こそ日本も、「対話による解決」という幻想から覚め、北朝鮮に核・ミサイルを放棄させる現実的な方法を考えることが必要だ。独裁的な金正恩体制について直接的な言葉で批判し、軍事行動も辞さないという強硬姿勢を貫くトランプ政権と足並みを揃える必要がありそうだ。

(片岡眞有子)

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