2017年12月末にテヘラン大学構内で開かれた反政府デモで、物価上昇などに抗議の声を上げる学生たち。写真:AP/アフロ
2018年3月号記事
ニュースのミカタ 2
国際
イランで異例の反政府デモ
イスラム圏に吹き始めた「自由の風」
イランでは年末年始に、反政府デモが各地で多発しました。
一部の地域ではデモ隊と治安部隊が衝突し、20人以上が死亡。少なくとも数百人のデモ隊が拘束されたとみられます。
デモのきっかけは、核合意後もイランの経済が好転しないことに対する民衆の不満です。
現在、政権を握るのは、アメリカに対して協調路線の外交を模索する穏健派のロウハニ大統領。ロウハニ氏は昨年5月の選挙で再選した際、「対外開放政策を進め、国民に自由をもたらす」と主張し、多くの若者の支持を集めました。
首都テヘラン在住の30代男性は本誌の取材にこう語ります。
「多くの国民は新政権がイランをより自由な国にしてくれると期待していました。しかし結局、自由化や女性の地位向上などは実現せず、期待を裏切られたと感じている国民が多いです」
男性は、近隣のサウジアラビアで急速に進む自由化政策を見て、自由への思いを募らせたイラン人も多いと指摘します。