2017年9月号記事
災害から命を守れ!
Interview
防災・危機管理教育アドバイザー
濱口和久
防災の鍵は地下にある
全国的に大規模災害が相次ぐ中、自治体はどのように備えるべきか。防災の専門家が語る日本の課題とは。
(編集部 山本慧)
防災・危機管理教育アドバイザー
濱口 和久
プロフィール
(はまぐち・かずひさ) 1968年、熊本県生まれ。防衛大学校卒。陸上自衛隊、国会議員秘書などを経て、現在、拓殖大学地方政治行政研究所の客員教授や、一般財団法人防災教育推進協会の常務理事・事務局長などを務める。著書に、『日本の命運 歴史に学ぶ40の危機管理』(育鵬社)など多数。
自然災害が多い日本では、すでに素晴らしい民間の防災組織があります。それは、町内会や婦人会などからなる「自主防災組織」です。私たちの暮らしで最も身近な防災組織です。
それに加えて、全国各地にある消防団も、公称で80万人います。こうした既存の組織を活用すれば、防災への対応力は向上するはずです。
ところが現在、組織のメンバーが高齢化し、自治会の役員が兼務する名ばかりの組織になるなど、「自分たちの地域は自分たちで守る」という組織本来の目的が果たせなくなっているところが多い。都会では、存在自体を知らない人も増えています。
地域の助け合いの精神で防災力を高めていくには、若い世代がそうした団体に参加し、日頃から訓練を行ったり、啓発活動したりできるようにする仕掛けが必要でしょう。特に防災は、飲み込みが早い子供のころから教えることが非常に大事になります。火の消し方などの具体的な方法から、地震を始めとする自然災害の発生メカニズムを教え、自分の身を守り(自助)、地域を守る(共助)にはどう行動すべきかを知る必要があります。
防災力を高めることは、国防意識を高めることにもつながるので、意義のあることです。