《本記事のポイント》
- 北朝鮮への対応をめぐり、中国がアメリカに「100日猶予がほしい」と要求
- 中国が北朝鮮にできる効果的な経済制裁は石油供給のストップ
- アメリカからこれまでにない圧力を受ける中国の、今後の北朝鮮への対応に注目
北朝鮮問題をめぐり、中国の習近平・国家主席が、4月に行ったアメリカのトランプ大統領との会談で、北朝鮮の行動を抑止させる猶予期間として「100日間」を求めていたことが分かった。22日付朝日新聞などが報じた。
北朝鮮は会談後もなお、ミサイルの発射を繰り返している。5月14日に、新型の中長距離弾道ミサイル「火星12」を発射。このミサイルは、射程が約5000キロ達すると見られ、アメリカ本土を射程にできるICBM(大陸間弾道ミサイル)の完成につながると言われている。
さらに21日夕方には、弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射した。高度約560キロまで上昇し、約500キロ飛行して、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。
中国からの石油の供給を止めることがカギ
挑発を続ける北朝鮮の行動を止めるには、経済制裁が有力な手段の一つだが、それには中国の協力が欠かせない。
昨年の北朝鮮の貿易額のうち、中国が9割超を占めている。現在の中国は、北朝鮮への圧力として、今年の間は、同国からの石炭を輸入しないという措置を取る。だが、4月24日付CNNによると、中国が今年第1四半期の石炭の輸入を半減させても、全体の輸入量は18%上昇したとのデータもあるといい、制裁の効果が疑問視されている。
より効果的な経済制裁は、中国が北朝鮮への石油の供給を止めることにある。これをストップすれば、北朝鮮は簡単に締め上げられ、身動きが取れなくなる。
ただ、金正恩体制が崩壊すれば、何十万人もの難民が中国に押し寄せるリスクが考えられるため、中国の政策上の優先事項は、「北朝鮮の現体制の安定化」と考えられる。中国としては圧力をかけつつも、北朝鮮を対話路線に戻したい強いがあると言えよう。
トランプ氏が北朝鮮に強圧的な姿勢を取ったため、中国はこれまでに見せなかった動きをしている。これはトランプ政権の成果と見るべきだ。中国が100日の間に効果的な措置を取るかどうか、今後の動きに注目である。
(小林真由美)
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