《本記事のポイント》
- 日本には他の国の製品で代替できない技術が数多くある
- アメリカの鉄道や迎撃ミサイルの部品も日本製
- 日本はその高い技術を用いて、自国の産業を創る努力が必要
トランプ米大統領は5月下旬、イタリアで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議に出席する。そこでは、トランプ政権が進めようとしている保護主義的な通商・貿易政策についても議論される見通しだ。
日本でも、保護主義的な貿易が進み、「他国の製品に高い関税をかけて、自国の製品を保護するようになれば、日本の製品も売れなくなるのではないか」と不安視する声もある。
だが日本には、他では代替できない、すごい技術がたくさんある。本当は怖気づく必要はない。
アメリカ鉄道を支える日本にしかない技術
日本の製鉄会社である新日本製鉄と住友金属は、2012年に統合し、新日鉄住金としてスタートした。同社は、世界の鉄道技術に欠かせない技術を持っている。
例えば、鉄道のレール。日本の新幹線に乗って、揺れを感じることはほぼないが、その理由は、重量の重い、世界最高品質のレールを使用しているためだ。そして、そのレールの加工技術を持っているのは、旧・新日本製鉄だけだ。
アメリカでは、アムトラックという大陸横断鉄道の上を、大型コンテナを積んだ貨物列車が走っている。この貨物列車を支えるには、この重く高品質のレールを使うしかない。
また、新幹線のように時速200km以上で走る高速鉄道の車輪をつくれるのは、旧・住友金属を含め、世界で数社しかない。しかも、旧・住金は車軸と車輪を一体で鍛造できる技術を持っている。これは他国にはない技術だ。
軍事力をも支える日本の技術
またSUBARU(旧・富士重工業)は、アイサイトという運転支援システムを搭載した自動車を販売し、好評を博している。アイサイトとは、「ぶつからない」「ついていく」「はみださない」「とびださない」「注意してくれる」という5つの機能を備えた、安全運転のための技術。世界累計販売台数は100万台を達成し、アメリカを中心とした輸出も好調だという。
実はこのアイサイトの技術は、富士重工業が開発していた無人機の自動着陸の技術から派生したものだった。富士重工業の前身は、旧陸軍の戦闘機「隼」を開発した中島飛行機だ。
また、アメリカは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)による攻撃に備え、迎撃ミサイルを保有している。その迎撃ミサイルの先端部分のコーンも、日本の京セラ製だ。ミサイルの先頭部分は高い耐熱性を必要とするが、アメリカの企業では製造できないという。
日本にはすごい技術があるにもかかわらず、それを利用して、産業を興してきたのはアメリカだった。トランプ政権が自国の産業を復活させる「アメリカ・ファースト」を進める中だが、日本にも自国の技術を生かし、今までにない日本発の産業を興す力はあるはず。その中で、日本もアメリカと切磋琢磨をしながら、共に繁栄する道が開かれる。
(山本泉)
(参考書籍:長谷川慶太郎著『世界が再び日本を見倣う日』、桜林美佐著『自衛隊の経済学』)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『繁栄への決断』 大川隆法著
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