《本記事のポイント》
- 議論進む「敵基地攻撃能力」
- 憲法9条の下で導入できるかが争点に
- 憲法を忠実に守れば自衛隊の存在も否定される
北朝鮮が5日、弾道ミサイルを発射した。政府は、北朝鮮がさらなる挑発行動に出ることを警戒している。
北ミサイルへの対応として昨今、「敵基地攻撃能力の保有」が話題になっている。
議論進む「敵基地攻撃能力」
自民党政務調査会は、北朝鮮による核や弾道ミサイルの脅威が高まっていることを背景に、「敵基地攻撃能力の保有」について政府に検討を求める提言をまとめ、安倍晋三首相へ提出した。
提言は、小野寺五典元防衛相を座長とした「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」が中心となって作成したもので、北朝鮮の弾道ミサイルへの対処能力を強化するための新装備の導入を促している。
新装備として提案されているのは、最新鋭ミサイル防衛システム「終末段階高高度地域防衛(THAAD)ミサイル」や、陸上型イージスシステム「イージスアショア」などといったもの。
THAADは、韓国にも配備された弾道弾迎撃ミサイルシステムで、射程距離が長く高度が高いため地上への影響が少なく、すでに配備されている迎撃ミサイルPAC-3ではカバーしきれなかった中距離弾道ミサイルへの対処も可能になるという。
また、イージスアショアは、イージス艦に備えられているレーダーや指揮統制システム、ミサイル発射システムなどを陸上で使う計画のこと。
憲法9条の下で導入できるかが争点に
これについて、憲法9条の下で配備が可能なのかが争点となっている。
先月の衆院予算委員会の後の記者会見で、安住淳民進党代表代行は、「憲法改正して国軍になって、安保条約のかなりの部分を見直すことで初めて(敵基地攻撃能力保有は)可能になるが、そうとうハードルが高い。専守防衛に徹してきた今までの流れを根本から変えていく話なので私は反対だ」としている(29日付朝日新聞デジタル)。
2013年に防衛計画大綱が改定された際にも、「専守防衛を逸脱する恐れがある」という公明党の反対などで見送られている。
これは、日本国憲法第9条第1項、2項において、戦争の放棄、戦力の不保持、そして交戦権を認めないと謳っているためだ。
憲法を忠実に守れば自衛隊の存在も否定される
しかし、専守防衛を地で行けば北朝鮮の方から武力攻撃されなければ反撃できないということになる。その一撃が水爆や核爆弾だった場合、日本は大きな混乱に陥り、反撃できないまま占領される可能性もある。
そもそも憲法を忠実に守るのなら、自衛隊の存在自体が否定されるはずである。それにもかかわらず解釈によって自衛隊は「武力」ではないということになっている。しかしこれは、無理のあるごまかしを重ねているに過ぎない。
憲法九条について、大川隆法・幸福の科学総裁は次のように述べている。
「 『憲法改正がなかなかできないので、法律をつくってごまかす』というスタイルが、あまりにも多すぎるのです。『憲法九条があるため軍隊は持てないが、自衛隊は軍隊ではないからよいのだ』と言い、自衛隊法をつくって自衛隊を設けていますが、今、自衛隊を軍隊だと思っていない人は世界中に誰もいません 」
「 『自分の国を守る』ということを憲法で明文化できないのは、主権国家として悲しいことです。したがって、国家の主権を放棄する条文、存在そのものが違憲の疑いのある憲法九条は、やはり変えるべきです 」
(大川隆法著『国家の気概』所収)
安倍首相は2月の衆院予算委員会で、「(敵基地攻撃能力を)保有する計画はない」としていたが、北朝鮮の脅威が高まっている今、国民の幸福とそれを追求する権利を守るためには、憲法九条の改正を推し進めるべきだ。
むしろ、北朝鮮がミサイル開発を進めているのはわかっていたのだから、もっと早く敵基地攻撃能力を持つべく動き出すべきだった。
もし憲法改正が間に合わないならば、中国・北朝鮮など、どうみても「平和を愛する国」ではない国については、憲法九条の適用を除外してでも、敵基地攻撃能力は保有すべき時がきている。
(HS政経塾 坂本麻貴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『国家の気概』 大川隆法著
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