《本記事のポイント》
- DeNAのまとめ記事サイトに、無断転載や著作権侵害などの疑いがあるという。
- 質よりも量を重視するようになったとみられている。
- 伝える側には責任が、受け手にも情報を選び取る目が必要。
「まとめ記事サイト」を運営するIT大手のディー・エヌ・エー(DeNA)が根拠のない記事の掲載や無断転用を行っていた問題で、昨年12月に発足した第三者委員会が調査報告書を公表。13日に、同委員会と会社側が相次いで会見を行った。
報告書によると、DeNAが運営する10サイトで、無断転載の可能性がある画像が最大70件以上あると指摘された。また、最大約2万件の記事が、著作権を侵害している疑いがあるという。医療関係の法令に違反したとみられる記事も10本あった。
DeNAは著作権侵害の被害申告が84件寄せられていることを明らかにした上で、賠償の個別相談に応じていく姿勢を示した。
実態はコピペを推奨?
14日付東洋経済オンラインでは、サイトから依頼されて記事を書くライターが、依頼主が「コピペ」を禁止と言いながらも、実態としてはコピペを推奨していると感じていた、と報じている。理由として、「他サイトを参考にするよう指示されたから」「コピペを多用しないと届かないだけの執筆本数を目標設定されていたから」などの証言がある。
DeNA内部では、記事をとにかく大量生産する方針にするか、記事一本あたりの質を重視する方針にするかが議論されたというが、2015年の夏ごろから大量生産の方針に傾き、質よりも量を重視するようになったとみられている。
マネジメント側の問題も
2016年12月には、同社が運営する医療系サイト「WELQ」で、著作権や正確性に問題のある記事が見つかり、大きな問題となった。この件について創業者の南場智子会長は、報道が出て初めて実態を知ったと語り、「いつから重い医療情報を扱うようになったのかと愕然とした。経営者として不覚であったと反省した」と述べた。
また、守安功社長は今回の会見で、「キュレーション事業自体、どんな価値をユーザーに提供していくのか、そしてそれが社会的にどういった意義をもたらすのかが徹底的に議論されていなかった。それ故に事業運営がちぐはぐになってしまったと思います」と語っている。
情報洪水時代に必要な「価値ある情報」
今回の問題は、インターネットにおけるオークションやショッピングサイト、モバイル向けポータルサイトを運営していたDeNAが、メディア事業にまで急激にビジネスを拡大し、ひずみが生じた結果だと考えられる。
そして、読者に価値ある情報を届けるというニュースサイトの本来の目的よりも、記事を大量生産することや、グーグル検索でいかに上位に表示されるかを重視したようだ。そのため、専門的知見に裏付けられた正確な内容を提供するための努力がおろそかになってしまったのではないだろうか。
メディアの情報発信や言論には、見る人々の考え方や行動を変えるという意味で、大きな責任があるということを常に忘れてはならないだろう。
また、インターネット上にある情報は重要なものもあるが、はるかに多くの雑情報が蔓延しており、玉石混交だ。そんな環境だからこそ、メディア側には、本当の意味で価値のある情報の提供が求められている。
スマートフォンで生活が便利になる側面もあるが、電車の中などで人々の使い方をのぞいてみると、ゲームやSNSをしている人が多く、暇つぶしのツールになっているようにも思える。人間がスマホを使うというよりも、スマホと一体化してしまい、一日の大半の時間を奪われているケースも多いのではないか。
情報の受け手も、スマホによって「1億総白痴化」しないよう、情報の洪水の中から価値ある情報を選び取る目を持つことが必要だ。
(小林真由美)
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