《本記事のポイント》

  • 国会で与党議員が「国立大は文科省の植民地」と厳しく指摘した。
  • 文科省から極めて多くの職員が大学に「現役出向」している。
  • 文科省と大学の癒着を許していては、教育は良くならない。

26日から開かれた衆議院の予算委員会で、文部科学省の組織的な天下りの問題をめぐって、与党側から官僚の「現役出向」についても厳しい批判の声が出た。

自民党の河野太郎前行革大臣は、「文科省から国立大学法人に極めて多数の現役出向がある。今月1日時点で、理事だけで76名、幹部職員に至っては241名を数える。(国立大は)単なる文科省の植民地になっているだけではないのか」と指摘。その上で、「泥棒に泥棒の見張りをさせても、意味がない」と、文科省に外部の目を入れて調査する必要性を主張した。

松野博一文科相は河野氏の指摘に対し、「出向は国立大学法人の学長からの要請に基づき行われている。現場感覚を養い、行政に反映できるメリットもある」と答弁した。

文科省と大学の"持ちつ持たれつ"の癒着関係

文科省の現役の官僚が国立大学法人を含む独立行政法人(独法)などに出向することは、「現役出向」と呼ばれる。政府はこれを大学などに再就職する「天下り」とは区別している。しかし、現役出向も天下りと同様に、癒着の温床になったり、受け入れ側の大学の運営に省庁の意向が過剰に反映されたりするという懸念もある。そうであれば、憲法で定められている「学問の自由」を文科省自らが破るということになりかねない。

そもそも国立大学の法人化は、自立した環境の下、個性豊かで特色ある研究、教育に取り組むことを目的としている。各大学が国の統制下から外れて、独自性を強めて特色のある研究を促すことを目指していたはずだ。

しかし実態はまるで逆になっている。大学にとっては、文科省のOBの天下りを受け入れることで、補助金を得たり、新学部設置の際などに文科省の嫌がらせを受けずに交渉を進められたりするというメリットがある。文科省の官僚としては、天下り先の大学に補助金をバラまき、天下り後は自らの給料や退職金として懐に回収できる。こうして、文科省の一部の官僚と大学との間に"持ちつ持たれつ"の癒着関係が出来上がっている。

文科省による組織的な天下りのあっせん問題が明るみに出た今、日本の教育行政の在り方を改めて見直し、文科省のためではなく、真に国民のためになる教育へと変革する契機とする必要があるだろう。

(小林真由美)

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