《本記事のポイント》
- 沖縄県宮古島市長選で陸自配備を受け入れる現職が当選。
- 今回の選挙は中国への抑止力強化の可否を握ると注目されていた。
- 日本と中国の国境の最前線である宮古島や石垣島では国防の機運が高まっている。
陸上自衛隊配備への賛否が争点だった沖縄県宮古島市長選と、市議会議員補欠選挙が22日、投開票された。市長選の結果は、現職の下地敏彦氏(自民推薦)が、元県議の奥平一夫氏(民進推薦)、医師の下地晃氏(社民推薦)、元市議の真栄城徳彦氏の無所属新人3人を破り、3選を果たした。
当選した下地敏彦氏は陸自配備を受け入れる姿勢を表明していた。他の3人の候補は、配備に反対したり、配備の是非を問う住民投票を行う考えを示したりしていた。もし3人のうちの誰かが当選すれば、陸自配備に向けた政府の動きを停滞させる可能性があった。
今回の市長選について翁長雄志沖縄県知事は、「自衛隊配備反対」を掲げる民進推薦の奥平氏を支持していたが、結果的に奥平氏は落選。翁長知事は、社民党や共産党が中心となって結成された「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議(オール沖縄)」の筆頭メンバーでもある。翁長知事が、オール沖縄が元々推していた社民推薦の下地晃氏ではなく、奥平氏を推したことで、分裂選挙となった。今回の市長選をきっかけに、「オール沖縄」が自壊を始め、今後は団結力が弱まっていくという見方もある。
陸自配備は抑止力の強化につながる
今回の市長選が注目されていたのは、活発化する中国の動きがあったためだ。中国の空母「遼寧」は2016年12月、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過し、初めて西太平洋に進出した。こうした中国の行動を受け、宮古島に有事で初動対処にあたる警備部隊と、地対艦・地対空ミサイルを配備することが喫緊の課題となっている。今回は、中国に対する抑止力強化が左右される重要な選挙だった。
防衛省は宮古島への陸自配備に向け、用地取得の手続きに入った。本年度で用地取得を終え、2017年度予算で部隊庁舎の整備を進める方針だ。また、2016年12月には、石垣市の中山義隆市長も自衛隊配備の受け入れを表明していた。
宮古島や石垣島に自衛隊を配備すれば、島民を守ると共に、尖閣をはじめとする周辺の離島、台湾の海と空ににらみが利く。海上のイージス艦や海中の潜水艦、海上保安庁の巡視船と連携して、抑止力を強化できる。
幸福実現党は宮古島への陸自配備に賛意
幸福実現党の沖縄本部は選挙前、現職市長への支持を表明していた。同党は、2009年の立党以来、一貫して中国の脅威や沖縄県を含む海上防衛の重要性を訴え続けてきた。同党沖縄県本部は、尖閣海域に公船と漁船が押し寄せた翌日の8月9日に沖縄県庁を訪れ、翁長雄志県知事宛てに、抗議文を提出。「訪米してまで米国政府に抗議しているが、中国政府に対して直接抗議しないということは矛盾している」などと指摘した。
また、今回の市議補選に出馬した幸福実現党公認の宮城隆氏は、当選には及ばなかったが、候補者の中で唯一、島への陸自配備の重要性を訴えていた。宮城氏は、陸自配備による国防の意義はもちろんのこと、その大きな経済効果についても語っている。
(参照:14日付本欄 http://the-liberty.com/article.php?item_id=12457 )
日本と中国の国境の最前線である宮古島や石垣島では、国防の機運が高まっている。今こそ、国民一人ひとりに、「自分の国は自分で守る」という意識が求められる。
(小林真由美)
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