《本記事のポイント》

  • 岸田文雄外相が次期総裁選への意欲を見せている。
  • 安倍首相と岸田外相が犯してきた外交の失策とは。
  • 政治家には、国益や世界正義を追求する「哲学」が必要。

岸田文雄外相が産経新聞の取材に、初めて次期総裁選への意欲を見せた(6日付)。出馬時期については明言しなかったものの、「安倍時代の後、自分がトップに立ったら何ができるか、『ポスト安倍』についても考えてみたい」と語った。

「この4年間、首相も私もそれぞれ世界のカウンターパートと信頼関係を築き、外交成果を上げてきたと思っています」

こう語る岸田外相は、以前から「ポスト安倍」と噂されてきた。しかし、本欄でも述べてきたように、その外交には一抹の不安がよぎる。

安倍首相と岸田外相は最高タッグ!?

ここで、岸田外相が安倍首相と共に行ってきた外交の「成果」を確認したい。

2015年10月、中国政府の働きかけにより、ユネスコの記憶遺産に「南京大虐殺」資料が登録された。これに対して日本政府は効果的な対策を打ってこなかったが、その虚偽性が多方面から指摘されている同事件を、世界に周知したらしめたことによる国益の損失は甚だしい。

2015年末に結んだ日韓合意も、「最終的かつ不可逆的」に慰安婦問題を解決したとしたが、2016年6月には韓国の民間団体が「従軍慰安婦」の資料をユネスコの記録遺産に提出するなど、その効力には疑問がある。

2017年1月5日には、日韓合意を基に、韓国・釜山の日本総領事館前に設置してある「慰安婦少女像」の撤去を要請した。しかし、朴槿恵(パク・クネ)大統領が辞任を迫られる中、次期政権が日韓合意を踏襲するかどうかすら怪しいという状況。日韓合意が誤った判断であったことは明らかだ。

これらの「反日」外交に加えて、アメリカ外交でも失策が目立った。

2016年5月、オバマ米大統領が広島を訪れ、原爆による被害者への哀悼の意を述べた。これに呼応するように、2016年末に安倍首相は旧日本軍が攻撃した真珠湾を訪問し、オバマ氏と共に犠牲者を慰霊した。この一連の行為を、日米両国のメディアは「戦後を終わらせる取り組み」として評価している。

しかし、これらの行為は、軍事基地のみを標的とした真珠湾攻撃と、明らかに一般市民を攻撃対象とした原爆投下が、同レベルのものであると世界に表明するようなものだった。

加えてロシア外交である。本欄でも指摘しているように、中国の覇権主義を抑制するうえで、ロシアと中国を接近させないことが肝要となる。そのためには、日露が協力関係を強化し、ロシアを世界のなかで孤立させないことが必要だが、安倍政権はロシア外交の重要さを認識していなかったようだ。

2014年のウクライナ問題において、欧米諸国は一斉にロシアへの経済制裁を行った。安倍首相はそれまで何度も首脳会談をしておきながら、手のひらを返したようにこの制裁に加わり、ロシアからの信頼を失った。

ウクライナ領であったクリミアは、約6割がロシア系住民であり、併合は"自国民保護"のためでもあったが、そのような事情を一切考慮せず、ただただ欧米諸国の判断にくっついた安倍首相の姿勢は、プーチン大統領を落胆させただろう。

これらの動きを見てみると、安倍首相のもとで岸田外相が「世界のカウンターパート」と信頼関係を築いてきたとは到底言えない。

政治家は「正義とは何か」を考えるべき

大川隆法・幸福の科学グループ総裁は2016年7月31日、岸田外相の守護霊を呼び、その心中を探っている。

そのなかで同氏の守護霊は「野球に思想が要らないように、政治にも思想は要らない」などと述べ、自身の信念のなさを露呈した。

岸田外相の在職日数は、今月5日時点で1472日となり、戦後の外相として、1962年から64年まで外相を務めた大平正芳元首相に並び歴代2位であるという。

大川総裁は大平元首相の霊も招霊している。同氏は先の大戦について日本の侵略性を否定し、中国の軍国主義への批判や日本の使命に言及するなど、自身の「哲学」を明示した。「思想はいらない」とした岸田外相の守護霊とは一線を画している。

政治家であるならば、国民の生命と財産を預かる身として、まず国益を求める必要がある。その上で、大いなる平和や人類の幸福を追求するためには、「世界はどの方向へ向かうべきなのか」「正義とは何か」を考え続けるべき立場だ。

岸田外相は、本当に次期首相を目指すのであれば、自身の外相としての仕事を正しく見直すべきだろう。

(片岡眞有子)

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