「人種差別的なメッセージを発信した」として退学処分を受けていた、米カトリック系高校の女子学生2人の親が、学校を相手に1億円の賠償金を求めて訴訟を起こしている。7日付米ワシントンポスト紙(電子版)が報じた。
現在、アメリカ全土では、抵抗する意思の無い黒人が白人の警察官に射殺された事件をきっかけに、「Black Lives Matter運動」というデモ活動が広まっている。こうしたデモに関して、学生たちが30人程のグループチャットで会話をしていた。そこでなされた黒人への差別的な発言が、意図せずSNSで公開されてしまったのだ。
学校側は、グループチャットに参加していたメンバーの内、2人の女子学生を退学処分としたが、女子学生の親はこれを不当としている。
原告は、グループチャットでは退学処分を受けた2人のコメント以外にも、似たようなコメントが多数あったとして、退学が「無作為で気まぐれなものである」と主張。また、メッセージは個人的なものであったため、学校の評判を下げることを目的としておらず、処分は不当であるとしている。
本件は、アメリカ国内でも話題を呼んでおり、様々に議論されている。
白人にも「逆差別」?
今回の事件が起こったのは、カトリック系の高校であるが、生徒に宗教的価値観に基づく善悪を教えてしかるべき学校が、単なる「処分」だけで問題を片づけてしまったのは、非常に残念なことだ。
また本件は、本当に「人種差別」を乗り越えるために欠けている視点を顕著に表している。
アメリカでは、「Black Lives Matter運動」が全土で行われているが、一方で、白人の警察官が理由もなく殺害されるなど、憎しみの連鎖が広がっていることも問題視される。
白人が黒人を見下してきた歴史は、確かに反省すべきだろう。しかし、黒人が、相手を白人であるというだけで"復讐"をしたり、普通以上に厳しく接するなら、同じ過ちを犯していることになるのではないか。
「白人と黒人に優劣はない」と言われ、一方的な「差別」が減ったとしても、「憎しみ合い」「対立」がなくならなければ意味がない。
憎しみを乗り越えるために
この憎しみの連鎖を断つためには、宗教的真実に目を向ける必要がある。
大川隆法・幸福の科学総裁は、人間の本質は「魂」であり、肉体が滅びても魂は生き続けると説いている。人間は、何度もあの世とこの世を転生輪廻する「霊的な」存在であり、何度も生まれ変わることで、新たな経験を積み、魂を磨く。
つまり、前世黒人として生まれた人が今世は白人として生まれたり、過去世イスラム教徒を迫害していたクリスチャンが、今世はイスラム教徒として生まれたりすることもあるということ。
こうした霊的な真実を知ることが、憎しみの連鎖を乗り越える鍵となるのではないか。(片)
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