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ここ数年、アメリカでは、白人警察官による黒人射殺の事件が頻発し、その結果として人種間の対立が際立っている。

米南部ノースカロライナ州シャーロットで20日、黒人男性が白人警察官に射殺されたことを受け、その直後から住民による抗議活動が起きた。射殺された男性について、警察側は、「銃を持っていた」と説明しているが、男性の遺族らは「本を持っていた」と主張しており、食い違っている。

抗議活動は翌日の未明まで続き、警察が催涙ガスなどで鎮圧しようとしたが、男性1人が他のデモ参加者に撃たれて重体となった。警察官も4人負傷し、同州知事が非常事態宣言を発令する事態にまで発展した。

白人警官が丸腰の黒人を誤って射殺

アメリカ南部のオクラホマ州でも16日、武器を持っていない黒人男性が白人の女性警察官に銃で撃たれ、死亡する事件があった。警察の対応に抗議の声が上がっている。

警察が公開した事件の動画によると、両手を頭上に上げて自分の車に向かって歩いていた黒人男性が、警察官に撃たれ、そのまま死亡した。発砲した白人の女性警察官は過失致死罪で訴追された。起訴状によると、警察官は「恐怖心から不合理な行動を取り、発砲に至った」と述べている(23日付CNN)。

銃社会特有の「恐怖心」「不信感」の問題

アメリカでは、白人と黒人との人種間の問題と、銃社会の問題の両方が重なり、こうした事件が後を絶たない。

これらの事件に共通するのは、白人警察官が黒人男性への「恐怖心」や「不信感」を抱いたことが、発砲につながったという点だ。警察官は「一瞬でも身の危険を感じたら、相手を無力にせよ」と日頃から教えられている。しかし、撃たれる黒人側からすると、「誤解」では済まされない、許しがたい行為だろう。黒人たちの叫びは、連日行われている「(黒人の命だって大切だ)」の抗議運動のスローガンからもうかがえる。

人の本質は肌の色ではなく魂

白人か黒人かなど、外見で人を差別する考え方は、目に見えるモノこそすべてという唯物論的な発想であり、本質的ではないといえる。

人間の本質は魂であり、人間は魂を向上させるべく、何度も地上に生まれてきては、異なった環境や人間関係の中で経験を積んでいる。

白人でも黒人でも、黄色人種でも、それは各人が魂を磨くために最適な人生を選んで生まれてきたと考えれば、人間は本来、人種や肌の色によって価値が決まる存在ではないといえる。

すべての人は等しく尊い「神仏の子」

近年では、白人の側からも白人優位の価値観を反省して改める動きがみられる。

調査の結果、18歳から30歳の白人アメリカ人の51%が、この「Black Lives Matter運動」を支持していることが分かった(9月6日付NY Daily News)。黒人への差別につながる法律や制度や慣習が撤廃された後に生まれた若い世代は、人種差別をしない傾向があるのかもしれない。

違う民族に対する恐怖心や不信感を克服するためには、すべての人は尊い「神仏の子」であり、魂としては等しく平等であるという考え方が大切だ。こうした宗教的な考え方を、学校や家庭などの教育現場で教え、一人ひとりの心を変えていくことが必要なのではないか。

(小林真由美)

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