次期大統領のドナルド・トランプ氏が21日、国民に向けたビデオ声明を発表。来年1月の大統領の就任初日に、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を通告すると明言した。

トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を掲げ、次世代のモノづくりやイノベーションを実現してアメリカ人労働者のために富と雇用を創造する、と訴えている。

この声明に先立ち、安倍晋三首相は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで記者会見を行った。冒頭で、22日朝の福島県沖を震源とする地震への対策について述べ、その後TPPに言及。TPPによる自由経済圏の拡大の意義に触れ、早期締結に向けての意欲を語った。

トランプ氏がTPPに反対であることに対して、安倍首相は、「TPPはアメリカ抜きでは意味がない」「根本的な利益のバランスがくずれてしまう」とし、アメリカの参加を求めた。

「中国包囲網」としてのTPP

もともとTPPの真の狙いは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を通して覇権拡大を狙う中国に対抗するための、経済的な「中国包囲網」であった。これに、経済、軍事ともに世界No.1の大国であるアメリカが参加しないのであれば、本来の目的を遂げることはできないだろう。

次期大統領のトランプ氏の「離脱」宣言に加え、TPPを進めてきたオバマ政権が任期中に米議会の承認を得ることを断念。日本政府は対応を迫られている。

「TPP離脱」の真意を読む

トランプ氏は、「保護主義」に回帰しようとしているのか。

トランプ新大統領で世界はこう動く

トランプ新大統領で世界はこう動く

大川隆法著

幸福の科学出版

年初から、「トランプ新大統領誕生」を見抜いていた大川隆法・幸福の科学総裁は、トランプ勝利の翌日に行った法話「On VICTORY of MR.DONALD TRUMP(邦題:トランプ新大統領で世界はこう動く)」で、トランプ氏の考えをこう分析した。

ドナルド・トランプは、『関税制度すなわち輸入にかける税金は、外交上の武器の一つである』と考えているわけです。たとえば、中国の外交政策が気に食わなかったら、中国に高い税率を課すことができます。(中略)これは、"熱い戦争"を起こさず、銃弾もミサイルも第七艦隊も使わない"武器の一つ"です 」(原文は英語。『トランプ新大統領で世界はこう動く』所収)

また、大川総裁はTPPについて、現時点では「二つの道がある」と指摘。その部分は、書籍に譲りたい。

トランプ氏と対等に渡り合う胆力が必要

大統領選以前は、弊誌でも、「TPPにアメリカを巻き込むべき」という論陣を張っていたが、中国に対して弱気なオバマ政権と、強気なトランプ新政権では、アメリカの「対中国政策」も変化する。今後、中国の覇権拡大を止めるという大きな目的を達成するために、日本も柔軟な対応が必要だ。

現代の「黒船」とも言えるトランプ政権の下で、今後日本は、在日米軍の駐留費などさまざまな問題で、難しい判断を迫られるだろう。

その時に、日本が今まで通りの従属的な地位に甘んじたままではいけない。生き馬の目を抜くようなビジネスの世界でのし上がってきたトランプ氏と対等に渡り合うだけの交渉術や政策、それを支える胆力が必要だ。

トランプ新政権が、日本にとって良いものになるか、悪いものになるか。それは、日本人の「選択」にかかっている。 (格/片)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『トランプ新大統領で世界はこう動く』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1767

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