パトリオットミサイル( 航空自衛隊ホームページ より)

防衛省の2017年度予算編成に向けた概算要求が、総額5兆1685億円となり、過去最高となることが明らかになった。1日付各紙が報じた。

これに対して朝日新聞、東京新聞はやや懐疑的な見方を示している。

朝日新聞は社説で、アジア情勢の悪化を考慮し、一定の防衛費は避けられないとしつつも、「懸念されるのは、将来的に防衛費の拡大が続き、財政全体を圧迫することだ」としている。

東京新聞は「過去最高となった防衛費など、安倍政権が重視してきた政策の要求増が目立つ」とし、「本当に必要な政策の財源を捻出するためムダの削減がこれまで以上に求められる」と述べている。

どちらも、財政が厳しい中、防衛費にこれほどの財源を割くことが本当に必要なのか、と言いたげな論調だ。

実戦向きではない迎撃ミサイルシステム

現在、北朝鮮の度重なるミサイル実験に対して、日本は防衛体制が整っていない。

8月3日、日本の排他的経済水域に北朝鮮からの弾道ミサイルが落下したが、日本政府はミサイルの破壊措置命令を出すことができなかった。

海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載するイージス艦や、陸上の要地防衛用の「PAC3」ミサイル部隊に「破壊措置命令」は出されず、全国の市町村に対して緊急事態を通知する「Jアラート」も作動していない。

防衛省は迎撃対応ができなかった根拠を、北朝鮮によるミサイル発射の兆候を察知できなかったためとしている。しかし、実戦においてミサイルは予告や兆候なしに発射されるものだ。

事前に通知されたミサイルにしか対応できない迎撃システムでは心もとない。より有効な迎撃体制を構築すべく、研究投資が必要だ。

防衛費の増大は国を護るために不可欠

さらに、それだけでは国を守る体制として十分とは言えないだろう。防御に専念するのみでは、対応が後手に回ってしまい、結局は自国を守れなくなる。自衛としての敵地先制攻撃や、「戦争を抑止するための核装備」も検討すべきだろう。

そのためには、防衛省が要求する予算では足りないほどだ。

北朝鮮は強気の姿勢を崩さず、対話による関係改善は望めない。このような現状において、「財政難」を理由に国防を疎かにすることは、自国防衛を放棄することを意味すると言えよう。(片)

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