北朝鮮による相次ぐ中距離弾道ミサイル(ムスダン)の発射実験をうけ、日本政府は30日、自衛隊に迎撃態勢をとらせる「破壊措置命令」を発令した。

中谷元防衛相は31日、今回の北朝鮮のミサイル実験を受けて、「被害を受けた事実はない。常にいかなる事態が起きても大丈夫なように対応している」と述べた(31日付ロイター電子版)。

北朝鮮は 2006 年、2009 年、2013 年に続く 4 回目の核実験を2016年初に実施。直近の核実験は、原爆よりもはるかに大きな被害をもたらす「水爆」であると公式発表されている。北朝鮮は4月15日、28日に計3発のムスダンを発射したが、いずれも空中で爆発するなどして失敗した。韓国軍は追加発射の可能性もあるとみて警戒を強めている。

ミサイルを100%撃ち落とすことは不可能

日本のミサイル防衛システムは、北朝鮮が1998年に弾道ミサイルを発射したことをきっかけに導入が決まった。日本周辺に配備されたイージス艦が海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を発射し、大気圏外で弾道ミサイルを迎撃する。撃ち漏らしたミサイルは、地上の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が狙い撃つという二段構えのシステムになっている。

一見、万全の態勢のように見えるが、SM3、PAC3とも実戦で発射したことがなく、射程もPAC3は数十キロしかない。「事前に部隊を配置する必要があり、北朝鮮が事前予告なく発射した場合、迎撃は簡単でない」(自衛隊関係者)との見方もある(3月16日北海道新聞)。

実験を経るごとに精度が増しているとみられる北朝鮮の核ミサイルを、100%の確率で迎え撃つことは不可能に近いだろう。

核装備の保有が最大の抑止力

隣接する韓国では、与党幹部から「自衛のために韓国も核を保有すべきだ」との意見も出始めている。

北朝鮮が核を持たない日本などを狙う可能性は大いにある。だからこそ、核を持つことは北朝鮮に対する抑止力となる。むしろ、核を持たずに丸腰で北朝鮮の暴走を許せば、数百万、数千万単位の人命が失われてしまう。

北朝鮮による核ミサイル発射の危機を食い止めるために、状況によっては、アメリカから核のレンタルを検討するなどの対策が必要だ。

6月3~5日にシンガポールで開催されるアジア安全保障会議の中では、日米韓3カ国の防衛相会談が行われる。会談では、北朝鮮の核・ミサイル開発問題が主要論点になるとみられる。日米韓が具体的な行動を伴う議論を進めることを期待したい。

(小林真由美)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『北朝鮮・金正恩はなぜ「水爆実験」をしたのか』 大川隆法著

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