Photo by Kumpei Shiraishi(画像は Wikipedia より)

北朝鮮が3日、中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられるミサイルを日本海に向け発射したことを受けて、国連安全保障理事会は緊急会合を開いた。

ミサイルは、秋田県の男鹿半島から西におよそ250キロの日本海上の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。3日の会合で日本側は「今までになかった事態で極めて新たな展開」だと緊急性を強調した。

秋田県の佐竹敬久知事は、「秋田沖にミサイルを撃ったことに怒りを覚える。戦前なら応戦する事態だ」と反発した。さらに「陸地を狙って届かなかった可能性もある。不測の事態が起きかねない緊迫した状況だった。政府はきちんと対処してほしい」と求めた(3日付産経新聞)。

今年3月には、北朝鮮の金正恩党委員長が核の小型化の成功に言及したと報じられた。この発表の真偽を疑う声もあるが、北朝鮮から核弾頭が搭載されたミサイルが、いつ日本に飛んできてもおかしくない状態となっているのは確かだ。

今回、日本政府はミサイルが日本近海に飛んできたにも関わらず、破壊措置命令を出すことができず、迎撃システムによるミサイル防衛には限界があることが露呈した。「話し合い」による解決が難しい北朝鮮に対しては、日本も正当防衛の範囲内で核装備を検討すべきではないか。

国防という争点を隠して選挙に臨んだ自民党

2016年夏の参院選の結果は、改憲勢力が3分の2を確保し、国会で憲法改正の発議をすることが初めて可能になった。しかし、安倍首相は選挙において、防衛問題や憲法問題、安全保障問題を争点にせず、経済問題を全面に出していた。国防を争点にすると票が減るため、選挙対策として、日本の存亡を左右する最も重要な議論をあえて避けていたと言わざるをえない。

ここには、マスコミの問題もある。もし安倍首相が国防政策を全面に出した場合、マスコミが言葉尻を捉えて攻めてくることは避けられなかった。政治家が選挙に勝つためにマスコミの顔色をうかがわなければならなければ、マスコミが事実上の第一権力になっていることを示している。つまり、国民の信任を得ていないマスコミが権力を濫用した結果、国防の危機を呼び込みかねないのだ。

国防強化が最重要事項

北朝鮮が核やミサイルの開発を継続し、弾道ミサイルを繰り返し発射しているうえに、中国は海洋進出を進めており、アジア情勢はきわめて不安定だ。日本は今以上に、アメリカをはじめとする同盟国や、共通の利害があるアジア諸国と防衛面での協力関係を強化する必要がある。

北朝鮮が本土を狙って核ミサイルを撃った場合、場合によっては千万人単位で人が殺される可能性がある。こうした恐怖の未来が現実となる前に、国防を強化することが、最重要事項といえる。

(小林真由美)

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