まるで3人しか立候補していないかのような新聞報道(写真は、告示日当日の大手紙の夕刊)。
東京都知事選のテレビや新聞などのマスコミ報道を見て、「違和感」を覚える人も多いのではないか。
21人が立候補しているにもかかわらず、報道されるのは、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、元総務相の増田寛也氏、元防衛相の小池百合子氏の"主要3候補"ばかりだ。
告示日の第一声をはじめ、日々の街頭演説などの言動や主義・主張が紹介されるのは、3人のみ。残りの18人は、小さな文字や画像で写真や名前が羅列される程度だ。
どのテレビ、どの新聞を見ても、連日"主要3候補"を紹介。ここまで来ると、マスコミの"談合"と言える。
放送法を守らないテレビ局、倫理綱領を守らない新聞
特に、テレビ局の地上波放送は、総務省の免許が必要で、公共性が高い。そのため、放送法の第四条では、放送事業者は番組の編集に当たって、「政治的に公平であること(二項)」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること(四項)」を定めている。
3人の主張を報じ、あとの18人の主張を報じない差別的な報道は、明らかにおかしい。
また、日本新聞協会の「新聞倫理綱領」は、こう謳っている。
「国民の『知る権利』は民主主義社会をささえる普遍の原理である。(中略)新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである」(日本新聞協会ホームページより)
こちらも、「公正な記事」とは言えず、自ら、国民の「知る権利」に応えることを放棄している。
その姿は、まるで「国営マスコミ」
そもそも"主要3候補"の「主要」とは、何を基準にしているのか。おそらく、鳥越氏は民進、共産、社民、生活、増田氏は自民、公明、日本のこころの各党から推薦を受けており、小池氏は自民党で活躍してきた、という程度の理由だろう。
しかし、こうした政党は、あくまで国から政党助成金をもらっている「政治団体」であり、報道するか否かという基準とは、まったく関係ない。「政党要件」を盾に、報道しないのであれば、マスコミ自らが政治への「新規参入」を阻み、既存の政党の"利権"を守っていることになる。
マスコミが「この3人の誰かに投票してください」と言っていることと同じであり、有権者を誘導している。
本来、「権力を監視する」役割を担うマスコミが、進んで権力の側に立っている状況は極めて危ない。その姿は、まるで「国営マスコミ」だ。香港で2017年に控えている行政長官選挙に、政府に都合のいい人物しか立候補させない中国のような状況に近づいている。これは、マスコミの"自殺"ではないか。
「誰に投票すべき」で、「誰に投票すべきでないか」は、マスコミが決めるのでなく、各候補者の主義・主張を見比べた上で、有権者自身が決めることだ。
「マスコミは、黙殺権を自由に使っている」
大川隆法・幸福の科学総裁は、こうした問題について、著書『正義の法』でこう指摘する。
「 黙殺したら、実際上、存在しないことと同じになってしまうわけです。(中略)マスコミは、この『黙殺権』というものをけっこう自由に使っていますが、ここが点検されていません。『このメディアは、何を黙殺したのか。どの部分を黙殺したのか』ということについて、点検されていないのです。この『黙殺権』のところは、実は大きな権力です 」
マスコミが、各候補者の情報を公平で中立な姿勢で伝えてこそ、民主主義が健全に機能する。
都知事選の投開票日は31日に控えているが、マスコミは本来の使命に立ち返り、公平な報道を行うべきだ。 (格/真)
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