ポルトガルのリスボンにあるサン・ジョゼ病院が、4カ月のあいだ脳死状態にある女性が健康な男の子を出産したことを発表した。英BBCが報じた。
女性は今年の2月、脳内出血による脳死であると宣告された。しかし、お腹の中の胎児は健康であることが確認され、夫の承認を受けて出産が行われた。脳死後に胎児が生存した期間として、4カ月という期間は、ポルトガル最長だ。
4月には、ポーランドで同じく脳死状態にある女性が出産した。こうしたニュースが報じられる度に、脳死は本当に人の死なのかという議論が起こる。
脳死状態での臓器移植の真実
本誌が繰り返し訴えているように、脳死は人の死ではない。霊的真実を述べれば、心停止後、約1日が経過し、肉体と魂をつなぐ「霊子線」が切れた瞬間が本当の死である。霊子線がつながっている間、魂と肉体は感覚を共有している。脳死状態での臓器移植は、生きたまま臓器を取り出されることと同じであり、死後もその痛みと恐怖は魂に残る。
日本では4月、脳死状態に陥った6歳未満の女児から、両親の承諾によって臓器提供が行われた。両親の悲しみは察するに余りあり、その悲しみの中で臓器移植を決断した美談として報じられた。
だが、残念ながら女の子は望まぬ痛みに苦しんでいるかもしれない。唯物論に基づく医学の限界がここにある。
脳死判定に納得しなかった父、そして……
脳死が人の死ではないことを示す事例は少なくない。昨年、アメリカ・テキサス州の病院で27歳の息子を「脳死」と判定されたピカリング氏が起こした事件がそれを示している。
ピカリング氏の息子に対し、医師たちは脳死判定を行った上で臓器提供を勧めた。近親者のほとんどがそれに応じたが、性急な彼らの決断に納得の行かなかったピカリング氏は銃を持って医師らを妨害した。
3時間に渡る交渉の末、ついに奇跡が起こる。脳死状態と言われた息子が目を覚ましたのだ。
銃を持ち出したのはやり過ぎかもしれないが、父にとって脳死状態の息子を「死んでいる」と判定されることは到底納得のいく事ではなかったのだろう。
臓器提供によって救われる命もある。しかし、唯物論に基づいて人間の生死を判定することは間違いだ。この世の人間の都合だけで判断していると、思わぬ不幸を招く。正しい霊知識を含んだ医学が、今、求められている。(藤)
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