街を歩くと、マスク姿の人がよく目につく。

今月に入って、インフルエンザが全国的に猛威を振るっている。国立感染症研究所によると、全都道府県でインフルエンザ警報が発令された(26日時点)。学年・学級閉鎖が相次ぎ、終息の兆しが見えない地域も多い。

毎年流行しているインフルエンザだが、特に高齢者や妊婦、幼児は感染すると、重症化しやすく、特に注意する必要がある。

6歳未満の幼児が国内で5例目の脳死判定

そんな中、あるニュースが報じられた。

東海地方の病院に入院していた6歳未満の女児が、インフルエンザの症状悪化により、脳の炎症を起こし、このほど脳死と判定された。6歳未満の幼児の脳死判定は、国内で5例目だ。日本臓器移植ネットワークによると、女児の肺や肝臓などの臓器は他の患者に提供された。

臓器提供を決断したのは、女子の両親。娘に宛てた思いをつづった手紙にはこう書かれている。

「先生からの説明で今のお父さんやお母さんみたいに涙に暮れて生きる希望を失っている人の、臓器提供を受けなければ生きていけない人の希望になれることを知りました。もしその人たちの役に立てるなら、それは素晴らしいことだと思ったんだよ」

脳死判定された女児は、まだ小学校入学にも満たない年齢。両親の悲しみは察するにあまりある。

手紙には、「もしいやだったらゴメンね」との言葉も記されている。15歳未満は、自ら臓器を提供する意思表示はできないが、家族の承諾があれば提供できる(拒否の意思は年齢を問わず有効)。この言葉からは臓器提供を決断した両親の迷いが伺える。

脳死状態でも肉体と魂はつながっている

脳死患者から、臓器を提供する事例はこれまでにも数多く見られるが、脳死患者でも出産でき、傷も治ることが確認されている。そのため、脳死が人間の事実上の死を意味するのかどうか、今も倫理的な問題となっている。

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『永遠の生命の世界』の中で、こう述べている。

『脳死状態においては、魂はまだ肉体と完全に密着した状態にある』ということです

霊的視点を踏まえると、人間は肉体と魂を合わせ持った存在。脳死状態でも、魂は健全で、患者は生きようと必死に努力している。

実際、脳死状態から回復した事例は多い。

例えば、2013年、くも膜下出血で倒れ、脳死を宣告された女優の佳那晃子さんは、回復する見込みがほぼ0%とされていたにもかかわらず、手足を動かせるまで奇跡的に回復している。

脳死患者にメスを入れた瞬間、血圧が急上昇

また、大川総裁は、前掲書の中で、「 人間は霊体においても痛みを感じることができます 」とも述べている。脳死とされた臓器提供者から臓器を取り出そうとメスを入れた瞬間、心拍数と血圧が急上昇したり、のたうちまわるという報告もある。

脳死患者にメスを入れるとなると、激しい肉体的痛みはもちろん、死んで霊体になった後も痛みが残ってしまう。亡くなった患者、残された家族のどちらにとっても不幸な結末だ。

臓器移植を行って他の人と救いたい、という利他の思い自体は、非常に尊い。ただ、移植に伴う苦痛を織り込み、「安らかにあの世へ旅立つ権利」をも考慮する必要がある。肉体と魂の謎を解き明かす医学が、今求められている。

(冨野勝寛)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『永遠の生命の世界』 大川隆法著

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